どうしてあんな見る影もない人を
源氏の君が奥様の一人だとお思いになるものかね、
仏様だって罪の軽い者ほどよく導いてくださるのだ。
手もつけられないほどの貧乏女でいて、
いばっていて、
宮様や奥さんのいらっしゃった時と同じように
思い上がっているのだから始末が悪いなどと思って
いっそう軽蔑《けいべつ》的に末摘花を見た。
「ぜひ決心をして九州へおいでなさい。
世の中が悲しくなる時には、
人は進んでも旅へ出るではありませんか。
田舎とはいやな所のようにお思いになるかしりませんが、
私は受け合ってあなたを楽しくさせます」
口前よく熱心に同行を促すと、
貧乏に飽いた女房などは、
「そうなればいいのに、何のたのむ所もない方が、
どうしてまた意地をお張りになるのだろう」
と言って、末摘花を批難した。
侍従も大弐の甥《おい》のような男の愛人になっていて、
京へ残ることもできない立場から、
その意志でもなく女王のもとを去って九州行きをすることになっていた。
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