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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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美しい月は 人の心を惑わす【源氏物語119 第八帖 花宴3】春の夜の御所、源氏は不用心になっている弘徽殿の縁側に上がった。男も女も道を踏み外すのはこういう時‥

 

中宮はすぐれた源氏の美貌がお目にとまるにつけても、

東宮の母君の女御がどんな心で

この人を憎みうるのであろうと

不思議にお思いになり、

そのあとではまたこんなふうに

源氏に関心を持つのもよろしくない心であると思召した。

大かたに 花の姿を見ましかば

つゆも心の おかれましやは

こんな歌はだれにもお見せになるはずのものではないが、

どうして伝わっているのであろうか。

 

夜がふけてから南殿の宴は終わった。

公卿《こうけい》が皆退出するし、

中宮と東宮は

お住居《すまい》の御殿へお帰りになって静かになった。

明るい月が上ってきて、

春の夜の御所の中が美しいものになっていった。

 

酔いを帯びた源氏は

このままで宿直所《とのいどころ》へはいるのが惜しくなった。

殿上《てんじょう》の役人たちも

もう寝《やす》んでしまっているこんな夜ふけに

もし中宮へ接近する機会を拾うことができたらと思って、

源氏は藤壺の御殿をそっとうかがってみたが、

女房を呼び出すような戸口も皆閉じてしまってあったので、

歎息《たんそく》しながら、

なお物足りない心を満たしたいように

弘徽殿の細殿の所へ歩み寄ってみた。

 

三の口があいている。

女御は宴会のあとそのまま宿直に上がっていたから、

女房たちなどもここには少しよりいないふうがうかがわれた。

この戸口の奥にあるくるる戸もあいていて、そして人音がない。

こうした不用心な時に

男も女もあやまった運命へ踏み込むものだと思って

源氏は静かに縁側へ上がって中をのぞいた。

だれももう寝てしまったらしい。

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