
——暴風の神であり出雲系の英雄でもあるスサノヲの命が、高天の原に進出し、
その主神である天照らす大神との間に、誓約の行われることを語る。
誓約の方法は、神祕に書かれているが、これは心を清めるための行事である。
結末においてさまざまの異系統の祖先神が出現するのは、
それらの諸民族が同系統であることを語るものである。——
そこでスサノヲの命が仰せになるには、
「それなら天照らす大神《おおみかみ》に申しあげて黄泉《よみ》の國に行きましよう」
と仰せられて天にお上りになる時に、山や川が悉く鳴り騷ぎ國土が皆振動しました。
それですから天照らす大神が驚かれて、
「わたしの弟が天に上つて來られるわけは立派な心で來るのではありますまい。
わたしの國を奪おうと思つておられるのかも知れない」
と仰せられて、髮をお解きになり、
左右に分けて耳のところに輪にお纏《ま》きになり、その左右の髮の輪にも、
頭に戴かれる鬘《かずら》にも、左右の御手にも、
皆大きな勾玉《まがたま》の澤山ついている玉の緒を纏《ま》き持たれて、
背《せ》には矢が千本も入る靱《ゆぎ》を負われ、
胸にも五百本入りの靱をつけ、
また威勢のよい音を立てる鞆《とも》をお帶びになり、
弓を振り立てて力強く大庭をお踏みつけになり、
泡雪《あわゆき》のように大地を蹴散らかして勢いよく叫びの聲を
お擧げになつて待ち問われるのには、
「どういうわけで上《のぼ》つて來《こ》られたか」
とお尋ねになりました。
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