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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語698 第21帖 乙女53】六条院の造営が終わった。南西は中宮の旧邸のあった所で、そこは宮のお住居になる。南東は源氏の住む所である。北東の一帯は東の院の花散里、西北は明石の上となる。

八月に六条院の造営が終わって、

二条の院から源氏は移転することになった。

南西は中宮の旧邸のあった所であるから、

そこは宮のお住居《すまい》になるはずである。

南の東は源氏の住む所である。

北東の一帯は東の院の花散里、

西北は明石《あかし》夫人と決めて作られてあった。

もとからあった池や築山も都合の悪いのはこわして、

水の姿、山の趣も改めて、

さまざまに住み主の希望を入れた庭園が作られたのである。

南の東は山が高くて、

春の花の木が無数に植えられてあった。

池がことに自然にできていて、

近い植え込みの所には、

五葉《ごよう》、紅梅、桜、藤《ふじ》、

山吹《やまぶき》、岩躑躅《いわつつじ》などを主にして、

その中に秋の草木がむらむらに混ぜてある。

中宮のお住居《すまい》の町はもとの築山に、

美しく染む紅葉《もみじ》を植え加えて、

泉の音の澄んで遠く響くような工作がされ、

流れがきれいな音を立てるような石が水中に添えられた。

滝を落として、奥には秋の草野が続けられてある。

ちょうどその季節であったから、

嵯峨《さが》の大井の野の美観がこのために

軽蔑《けいべつ》されてしまいそうである。

北の東は涼しい泉があって、

ここは夏の庭になっていた。

座敷の前の庭には呉竹《くれたけ》がたくさん植えてある。

下風の涼しさが思われる。

大木の森のような木が深く奥にはあって、

田舎らしい卯《う》の花垣《はながき》などが

わざと作られていた。

昔の思われる花橘《はなたちばな》、

撫子《なでしこ》、薔薇《そうび》、木丹《くたに》などの

草木を植えた中に春秋のものも配してあった。

東向いた所は特に馬場殿になっていた。

庭には埒《らち》が結ばれて、

五月の遊び場所ができているのである。

菖蒲《しょうぶ》が茂らせてあって、

向かいの厩《うまや》には名馬ばかりが飼われていた。

北西の町は北側にずっと倉が並んでいるが、

隔ての垣《かき》には唐竹《からたけ》が植えられて、

松の木の多いのは雪を楽しむためである。

冬の初めに初霜のとまる菊の垣根、

朗らかな柞原《ははそはら》、

そのほかにはあまり名の知れていないような

山の木の枝のよく繁ったものなどが移されて来てあった。

🌸🎼KANADE written by のる 

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