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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語700 第21帖 乙女55】紅葉がむらむらに色づいて、中宮の前のお庭が非常に美しくなった。夕方に風の吹き出した日、中宮はいろいろの秋の花紅葉を箱の蓋に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。

九月にはもう紅葉《もみじ》がむらむらに色づいて、

中宮の前のお庭が非常に美しくなった。

夕方に風の吹き出した日、

中宮はいろいろの秋の花紅葉を

箱の蓋《ふた》に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。

やや大柄な童女が深紅《しんく》の袙《あこめ》を着、

紫苑《しおん》色の厚織物の服を下に着て、

赤|朽葉《くちば》色の汗袗《かざみ》を上にした姿で、

廊の縁側を通り渡殿《わたどの》の

反橋《そりはし》を越えて持って来た。

お后が童女をお使いになることは

正式な場合にあそばさないことなのであるが、

彼らの可憐《かれん》な姿が

他の使いにまさると宮は思召したのである。

御所のお勤めに馴《な》れている子供は、

外の童女と違った洗練された身のとりなしも見えた。

お手紙は、

 

心から春待つ園はわが宿の紅葉を風のつてにだに見よ

 

というのであった。

若い女房たちはお使いをもてはやしていた。

こちらからはその箱の蓋へ、下に苔《こけ》を敷いて、

岩を据《す》えたのを返しにした。

五葉の枝につけたのは、

風に散る 紅葉は軽し 春の色を

岩根の松に かけてこそ見め

という夫人の歌であった。

よく見ればこの岩は作り物であった。

すぐにこうした趣向のできる夫人の才に源氏は敬服していた。

女房たちも皆おもしろがっているのである。

「紅葉の贈り物は秋の御自慢なのだから、

 春の花盛りにこれに対することは言っておあげなさい。

 このごろ紅葉を悪口することは立田《たつた》姫に遠慮すべきだ。

 別な時に桜の花を背景にしてものを言えば

 強いことも言われるでしょう」

こんなふうにいつまでも若い心の衰えない源氏夫婦が

同じ六条院の人として中宮と風流な戯れをし合っているのである。

大井の夫人は他の夫人のわたましがすっかり済んだあとで、

価値のない自分などはそっと引き移ってしまいたいと思っていて、

十月に六条院へ来たのであった。

住居《すまい》の中の設備も、

移って来る日の儀装のことも源氏は他の夫人に劣らせなかった。

それは姫君の将来のことを考えているからで

迎えてからも重々しく取り扱った。

 

🍁🎼優美なひととき written by 天野 七祈

 

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