2024-06-17から1日間の記事一覧
【源氏物語700 第21帖 乙女55完】紅葉がむらむらに色づいて、中宮の前のお庭が非常に美しくなった。夕方に風の吹き出した日、中宮はいろいろの秋の花紅葉を箱の蓋に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。
九月にはもう紅葉《もみじ》がむらむらに色づいて、 中宮の前のお庭が非常に美しくなった。 夕方に風の吹き出した日、 中宮はいろいろの秋の花紅葉を 箱の蓋《ふた》に入れて紫夫人へお贈りになるのであった。 やや大柄な童女が深紅《しんく》の袙《あこめ》…
【平家物語101 第4巻 橋合戦②】三位入道の一族、渡辺党があいついで橋を渡り、刀折れれば敵のを奪い、重傷で倒れれば残る力で腹かき切って川へ飛ぶ。両軍の血で橋は染り、雄叫びは火花の散るほど激しかった。
堂衆の一人、 筒井《つつい》の浄妙明秀《じょうみょうめいしゅう》は 黒皮縅の鎧に五枚兜の緒をしめ、 二十四本の黒ほろの矢を背に白柄の大長刀を掴んで橋に一人進み、 轟く大音声をあげた。 「遠からん者は音にも聞け、近からん人は目にも見よ、 三井寺に…
秋の彼岸のころ源氏一家は六条院へ移って行った。 皆一度にと最初源氏は思ったのであるが、 仰山《ぎょうさん》らしくなることを思って、 中宮のおはいりになることは少しお延ばしさせた。 おとなしい、 自我を出さない花散里を同じ日に東の院から移転させた…
しばらく進むうちに、 高倉宮は宇治橋に来るまで六度も落馬した。 側近が昨夜お寝みにならぬお疲れのためであろうと、 平等院《びょうどういん》にお入れして休息させた。 敵襲をおもんばかって、宇治橋の橋板三間を引きはがし、 宮と共に兵もここで一息入れ…