同じ御殿の西と東に分かれて、
老内親王と若い前斎院とは住んでおいでになった。
式部卿《しきぶきょう》の宮がお薨《かく》れになって
何ほどの時がたっているのでもないが、
もう宮のうちには荒れた色が漂っていて、
しんみりとした空気があった。
女五の宮が御対面あそばして源氏にいろいろなお話があった。
老女らしい御様子で咳が多くお言葉に混じるのである。
姉君ではあるが太政大臣の未亡人の宮はもっと若く、
美しいところを今もお持ちになるが、
これはまったく老人らしくて、
女性に遠い気のするほど
こちこちしたものごしでおありになるのも不思議である。
「院の陛下がお崩《かく》れになってからは、
心細いものに私はなって、
年のせいからも泣かれる日が多いところへ、
またこの宮が私を置いて行っておしまいになったので、
もうあるかないかに生きているにすぎない私を
訪ねてくだすったことで、
私は不幸だと思ったことももう忘れてしまいそうですよ」
と宮はお言いになった。
🌸🎼#transparent grave written by #のる
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