こんなことを毎日言っているうちに十二月にもなった。
雪や霙《みぞれ》の降る日が多くて、心細い気のする明石は、
いろいろな形でせねばならない苦労の多い自分であると悲しんで、
平生よりもしみじみ姫君を愛撫《あいぶ》していた。
大雪になった朝、過去未来が思い続けられて、
平生は縁に近く出るようなこともあまりないのであるが、
端のほうに来て明石は汀《みぎわ》の氷などにながめ入っていた。
柔らかな白を幾枚か重ねたからだつき、
頭つき、後ろ姿は最高の貴女《きじょ》というものも
こうした気高《けだか》さのあるものであろうと見えた。
こぼれてくる涙を払いながら、
「こんな日にはまた特別にあなたが恋しいでしょう」
と可憐《かれん》に言って、また乳母《めのと》に言った。
雪深き深山《みやま》のみちは晴れずともなほふみ通へ跡たえずして
乳母も泣きながら、
雪間なき吉野《よしの》の山をたづねても心の通ふ跡絶えめやは
と慰めるのであった。
❄️雪化粧 written by MAKOOTO
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