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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語687 第21帖 乙女42】姉に夕霧の手紙を渡した息子を咎める惟光。若君と知ると笑顔になって「‥女官のお勤めをさせるより貴公子に愛される方が良い。私も明石の入道になるかな」と言う。

五節の弟で若君にも丁寧に臣礼を取ってくる惟光の子に、

ある日逢った若君は平生以上に親しく話してやったあとで言った。

「五節はいつ御所へはいるの」

「今年のうちだということです」

「顔がよかったから私はあの人が好きになった。

 君は姉さんだから毎日見られるだろうからうらやましいのだが、

 私にももう一度見せてくれないか」

「そんなこと、私だってよく顔なんか見ることはできませんよ。

 男の兄弟だからって、あまりそばへ寄せてくれませんのですもの、

 それだのにあなたなどにお見せすることなど、だめですね」

と言う。

「じゃあ手紙でも持って行ってくれ」

と言って、若君は惟光《これみつ》の子に手紙を渡した。

これまでもこんな役をしては

いつも家庭でしかられるのであったがと迷惑に思うのであるが、

ぜひ持ってやらせたそうである若君が気の毒で、

その子は家へ持って帰った。

五節は年よりもませていたのか、若君の手紙をうれしく思った。

緑色の薄様《うすよう》の美しい重ね紙に、

字はまだ子供らしいが、

よい将来のこもった字で感じよく書かれてある。

 

日かげにもしるかりけめや少女子《をとめご》が天の羽袖にかけし心は

 

姉と弟がこの手紙をいっしょに読んでいる所へ

思いがけなく父の惟光が出て来た。

隠してしまうこともまた恐ろしくてできぬ若い姉弟であった。

「それは、だれの手紙」

父が手に取るのを見て、姉も弟も赤くなってしまった。

「よくない使いをしたね」

としかられて、逃げて行こうとする子を呼んで、

「だれから頼まれた」

と惟光が言った。

「殿様の若君がぜひっておっしゃるものだから」

と答えるのを聞くと、

惟光は今まで怒っていた人のようでもなく、

笑顔になって、

「何というかわいいいたずらだろう。

 おまえなどは同い年でまだまったくの子供じゃないか」

とほめた。

妻にもその手紙を見せるのであった。

「こうした貴公子に愛してもらえば、

 ただの女官のお勤めをさせるより

 私はそのほうへ上げてしまいたいくらいだ。

 殿様の御性格を見ると恋愛関係をお作りになった以上、

 御自身のほうから相手をお捨てになることは絶対にないようだ。

 私も明石の入道になるかな」

などと惟光は言っていたが、

子供たちは皆立って行ってしまった。

🌷🎼優しい憂雨に written by 蒲鉾さちこ

 

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