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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語671 第21帖 乙女26】夕霧は、雲居の雁との恋を大臣が知ったことを大宮から聞く。これからは手紙の往復もいっそう困難になることであろうと思うと、若君の心は暗くなっていった。

自身のことでこんな騒ぎのあることも知らずに

源氏の若君が来た。

一昨夜は人が多くいて、

恋人を見ることのできなかったことから、

恋しくなって夕方から出かけて来たものであるらしい。

平生大宮はこの子をお迎えになると

非常にお嬉しそうなお顔をあそばしてお喜びになるのであるが、

今日はまじめなふうでお話をあそばしたあとで、

「あなたのことで内大臣が来て、

 私までも恨めしそうに言ってましたから気の毒でしたよ。

 よくないことをあなたは始めて、

 そのために人が不幸になるではありませんか。

 私はこんなふうに言いたくはないのだけれど、

 そういうことのあったのを、

 あなたが知らないでいてはと思ってね」

とお言いになった。

少年の良心にとがめられていることであったから、

すぐに問題の真相がわかった。若君は顔を赤くして、

「なんでしょう。

 静かな所へ引きこもりましてからは、

 だれとも何の交渉もないのですから、

 伯父様の感情を害するようなことはないはずだと私は思います」

 と言って羞恥《しゅうち》に堪えないように見えるのを

かわいそうに宮は思召《おぼしめ》した。

「まあいいから、これから気をおつけなさいね」

とだけお言いになって、

あとはほかへ話を移しておしまいになった。

これからは手紙の往復も

いっそう困難になることであろうと思うと、

若君の心は暗くなっていった。

💐🎼静やかな涙 written by ゆうり

 

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