2024-05-01から1日間の記事一覧
姫君がこぢんまりとした美しいふうで、 十三絃《げん》の琴を弾いている髪つき、 顔と髪の接触点の美などの艶《えん》な上品さに大臣が じっと見入っているのを姫君が知って、 恥ずかしそうにからだを少し小さくしている横顔がきれいで、 絃《いと》を押す手…
【源氏物語660 第21帖 乙女15】「(明石の上は)聡明な人らしいですね。姫君を産み 自分がつれていては子供の不幸になることを理解し、奥様に姫君を渡したことを感心して聞きました」内大臣はそう話した。
「その山荘の人というのは、幸福な人であるばかりでなく、 すぐれた聡明《そうめい》な人らしいですね。 私に預けてくだすったのは男の子一人で あの方の女の子もできていたら どんなによかったろうと思う女の子をその人は生んで、 しかも自分がつれていては…
「琵琶《びわ》は女が弾くとちょっと反感も起こりますが、 しかし貴族的なよいものですね。 今日はごまかしでなく ほんとうに琵琶の弾けるという人はあまりなくなりました。 何親王、何の源氏」 などと大臣は数えたあとで、 「女では太政大臣が嵯峨の山荘に…
東の院へ学問のために閉じこめ同様になったことは、 このことがあるために若君を懊悩《おうのう》させた。 まだ子供らしい、そして未来の上達の思われる字で、 二人の恋人が書きかわしている手紙が、 幼稚な人たちのすることであるから、抜け目があって、 そ…
幾人かの腹から生まれた子息は十人ほどあって、 大人になって役人になっているのは 次々に昇進するばかりであったが、 女は女御のほかに一人よりない。 それは親王家の姫君から生まれた人で、 尊貴なことは嫡妻の子にも劣らないわけであるが、 その母君が 今…
皇后が冊立《さくりつ》されることになっていたが、 斎宮《さいぐう》の女御《にょご》は 母君から委託された方であるから、 自分としてはぜひこの方を 推薦しなければならないという源氏の態度であった。 御母后も内親王でいられたあとへ、 またも王氏の后…