2023-06-16から1日間の記事一覧
夢かうつつか 寝てかさめてか written by 秦暁 尚侍が失心したようになっているのであるから、 大臣ほどの貴人であれば、 娘が恥に堪えぬ気がするであろうという 上品な遠慮がなければならないのであるが、 そんな思いやりもなく、 気短な、落ち着きのない大…
Apprentice witch written by ハシマミ 「なぜあなたはこんな顔色をしているのだろう。 しつこい物怪《もののけ》だからね。 修法《しゅほう》をもう少しさせておけばよかった」 こう言っている時に、 淡《うす》お納戸《なんど》色の男の帯が 尚侍の着物に…
通り雨-Shower- written by 田中芳典 雨がにわかに大降りになって、 雷鳴が急にはげしく起こってきたある夜明けに、 公子たちや太后付きの役人などが騒いで あなたこなたと走り歩きもするし、 そのほか平生この時間に出ていない人も その辺に出ている様子が…
朧朧たる夢の終わりと朝月夜的なBGM written by 鷹尾まさき(タカオマサキ) その時分に尚侍《ないしのかみ》が御所から自邸へ退出した。 前から瘧病《わらわやみ》にかかっていたので、 禁厭《まじない》などの宮中でできない療法も 実家で試みようとしてで…