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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語649 第21帖 乙女4】源氏は夕霧を大学に入れ学問をさせることにした。自家の勢力に慢心せず、将来の国家の柱石たる教養を受けておくことが大切であること。親としての考えを大宮に話す。


「ただ今わざわざ低い位に置いてみる必要もないようですが、

 私は考えていることがございまして、

 大学の課程を踏ませようと思うのでございます。

 ここ二、三年をまだ元服以前とみなしていてよかろうと存じます。

 朝廷の御用の勤まる人間になりますれば

 自然に出世はして行くことと存じます。

 私は宮中に育ちまして、

 世間知らずに御前で教養されたものでございますから、

 陛下おみずから師になってくだすったのですが、

 やはり刻苦精励を体験いたしませんでしたから、

 詩を作りますことにも素養の不足を感じたり、

 音楽をいたしますにも音《ね》足らずな気持ちを

 痛感したりいたしました。

 つまらぬ親にまさった子は自然に任せておきましては

 できようのないことかと思います。

 まして孫以下になりましたなら、

 どうなるかと不安に思われてなりませんことから、

 そう計らうのでございます。

 貴族の子に生まれまして、官爵が思いのままに進んでまいり、

 自家の勢力に慢心した青年になりましては、

 学問などに身を苦しめたりいたしますことは

 きっとばかばかしいことに思われるでしょう。

 遊び事の中に浸っていながら、

 位だけはずんずん上がるようなことがありましても、

 家に権勢のあります間は、

 心で嘲笑《ちょうしょう》はしながらも追従をして

 機嫌を人がそこねまいとしてくれますから、

 ちょっと見はそれでりっぱにも見えましょうが、

 家の権力が失墜するとか、保護者に死に別れるとかしました際に、

 人から軽蔑《けいべつ》されましても、

 なんらみずから恃《たの》むところのないみじめな者になります。

 やはり学問が第一でございます。

 日本魂《やまとだましい》をいかに活《い》かせて使うかは

 学問の根底があってできることと存じます。

 ただ今目前に六位しか持たないのを見まして、

 たよりない気はいたしましても、

 将来の国家の柱石たる教養を受けておきますほうが、

 死後までも私の安心できることかと存じます。

 ただ今のところは、とにかく私がいるのですから、

 窮迫した大学生と指さす者もなかろうと思います」

🌿🎼夕風と君 written by のる

 

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【 平家物語29 第2巻 西光被斬④〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

まもなく、陰謀の一味の面々、

近江中将入道蓮浄、法勝寺執行俊寛僧都、山城守基兼、

式部大輔雅綱、平判官康頼、宗判官信房、新平判官資行らが、

続々と捕えられて、西八条に連行されてきた。

 一味うたるの報に、

西光法師は、もちろん、陰謀のばれた事を覚ると、

馬に鞭をあて、矢庭に院の御所へ急いだ。

しかし、それも道を固める平家の侍達に、

たちまち捕ってしまった。

「西八条のお召しじゃ、早く参れ」

と西光の囲りを取り囲むと、

この時に及んでも大胆な西光は、

「どうしても申上げねばならぬことがあって院の御所に行くところだ、

 帰りに西八条に寄るからそのように申せ」

と人を喰ったことを言う。

「何と不敵な男だ、何を院に申上げるかわかったもんじゃない、

 そうはさせないぞ」

多勢に一人身の悲しさ、西光は、馬から引ずり下され、

しばりあげられて、清盛の面前に連れてこられた。

 とにかく、陰謀の首魁《しゅかい》と目されている男だから、

清盛の憎しみも又人一倍で、中庭に引き据えられた西光をみると、

「よくも、おのれ、この清盛に謀叛の心をおこしたな。

 それにしても、今のそのしばられたざまは何じゃ、

 何も言えまい、言えるものか、それ、こっちへ引ずれ」

と縁近く、西光を引ずり出すと、

履物をはいた足をあげて、西光の顔を右左に、

ごりごりと踏みにじった。

「元はといえば、たかが北面の侍の分際で、

 うまく院に取り入って、父子《おやこ》諸共、

 身分不相応の官職をだましとり、

 目にあまる行ないは前々から腹に据えかねていたが、

 此度《このたび》は、

 罪もない天台座主に無実の罪をなすりつけ、

 それでも事足りず、この平家滅亡の陰謀をめぐらした張本人、

 今はもう全てを諦めて、素直に白状しろ」

と怒鳴りつけた。

西光は名だたる豪の者であったから、

先程から、顔の色一つ変えず、

傲然《ごうぜん》と清盛の言葉を聞いていたが、

「全く余計なことまで仰有《おっしゃ》るお人だ、

 そういうことはこの西光の前では、口を慎んだ方が安全ですよ。

 とにかく、私は院に仕える者だから、

 院の執事《しつじ》である成親卿が、

 院のご命令といって催されたことには、

 もちろん参加するのは当然のことで、

 それを、荷担しないなどとは申してはおりませんがね。

 唯一つさっきから黙って承っていると耳ざわりな事を仰有る。

 私が、身分不相応で、下郎《げろう》の分際だというのなら、

 一体貴方は何ですか、

 公卿からけいべつされていた刑部卿忠盛の子というだけで、

 十四、五の頃までは無位無官、

 京わらべからさえ、高平太《たかへいだ》といわれて、

 さんざからかわれていたくせに、

 それが、海賊を追払ったのがきっかけで、

 とんとん拍子に出世したまででしょう。

 その貴方と、北面の武士の子で、受領になった私とじゃ、

 余り違わないどころか、余り大きな口をきくとぼろが出ますぜ」

といい返した。

清盛は、真っ赤になって怒りだした。

唇ばかりぶるぶる震えて、とっさに言葉も出ないほどである。

とにかくしゃべらせておくと又何を言い出すかわからないし、

言葉の上では分が悪い。

 清盛は、

松浦太郎重俊《まつうらのたろうしげとし》をかえり見ると、

「直ぐにも首を打ちたい奴だが、陰謀の全部を白状するまでは、

 責めて責めて責め抜いてやれ」

といいつけると奥へ入ってしまった。

重俊は、主人の言葉通り、あらゆる拷問を加えた。

西光はここまできては別にかくし立てすることもなかったから、

ありのままを白状した。

白状の調書は、四、五枚に記され、用がなくなると、

「あいつの口をさいて、斬ってしまえ」

という清盛の命令通り、

五条、西朱雀《にしすざく》で首を討たれた。

続いて、先に、流罪中の西光の嫡子加賀守師高、師経、

その弟の師平もそれぞれの場所で首をはねられた。

🪷🎼蛟~祟り神~ written by 藍舟

 

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【平家物語28 第2巻 西光被斬③〈さいこうがきられ〉〜The Tale of the Heike🪷


翌くる六月一日の未明、清盛は、

検非違使安倍資成《けびいしあべのすけなり》を召し、

院の御所への使いを命じた。

資成は御所に着くと、

大膳大夫信業《だいぜんのだいふのぶなり》を呼んで清盛の伝言を、

法皇に伝えてくれるように頼んだ。

「わが君の仰有《おっしゃ》るには、

 法皇側近の方々が、

 平家一門を滅して天下を乱そうという計画をお持ちとききました。

 こちらとしても捨てては置かれませんから、

 一人一人召し捕え、いい様に処分するつもりでいますが、

 その点あらかじめご了承下さって、

 何卒ご妨害などしないで頂きたいのです」

信業もこの知らせにひどく、どぎまぎしながら、

「暫くお待ちを、唯今、法皇にお取次ぎいたしますから」

と言い置いてあたふたと、院の前にかけつけてきた。

「どうやら、鹿ヶ谷の一件を、清盛が嗅ぎつけたらしく」

信業の知らせに、

日頃、沈着な院も、返す言葉がない。

唯、唇をわなわな震わせて、

「一体 如何《どう》したものであろう、

 のう信業、どうしたらよかろう」

と、咄嗟《とっさ》の分別もつかずに、まごまごしておられる。

信業だって、良い思案の浮ぶ筈もなく、

それでも頭の利く男なら、何とかこの場は取り繕って、

玄関に待たせっきりの資成に色よい返事を送って

一応帰してしまえばいいものを、

普段、のんびりと、公卿達との交渉ばかりで、

こういう緊急事態に直面した事がないから、

一緒になって、

「如何いたしましょう、如何取り計いましょう」

と、さっきから同じ事ばかりを繰り返している。

 

資成は、役目柄、

どうもはっきりした態度をとれないらしい法皇の立場に、

逸早く気づいたから、これで用事は済んだとばかり、

さっさと清盛の所に帰ってくると、

「何か、ひどく慌てふためいている様子で、

 ろくすっぽ返事をくれません」

と報告した。

「なる程、返事ができないわけだわい。

 行綱が申したことは、やはり真実であったか、

 やれやれ、あいつのおかげで、

 わしも生命拾いしたというわけか」

様子が判ってみれば、ぐずぐずしている間に、

知らせが方々へとぶかも知れない。

万事、早いに限ると、清盛は、

飛騨守景家《ひだのかみかげいえ》、

筑後守貞能《ちくごのかみさだよし》らに命じて、

即座に、謀叛を企てた者の逮捕を命じることにした。

 

清盛は、先ず、使いの者を、新大納言成親邸へ走らせ、

「ご相談があるので、是非お出で頂きたい」

と言わせた。

成親は、まさか謀叛がばれたとは思わないから、

「どうせ、山門攻めは見合すようにとか、

 何とか法皇に意見しろというんだろうが、

 とにかく、山門のことは、

 法皇も、てんで聞き分けがないから、難しいのになあ」

と呑気《のんき》な事を考えながら、車を走らせた。

もちろん、これが最後とは思い知るわけもなく、

いつもよりも、

一段と美々しく着飾った行列でやってきたのは、

虫の知らせであったろうか。

 

西八条の屋敷近くまでくると、

甲冑《かっちゅう》、物具《もののぐ》をつけた兵士達が、

満ち溢れて、どことなく緊迫した空気が漂っている。

 成親も、思わず胸騒ぎがするのを感じたが、

「まさか」と打消して、

急いで牛車から降り立った。

途端に、成親の囲りをぱらぱらっと、

荒武者どもが取り巻いた。

「しばるのでございますか?」

というと、

「まあいいだろう」

と答えたのは、誰あろう清盛入道である。

「かしこまりました」

と答えると侍共は、成親が一言もいうすきも与えず、

縁の上に、引ずりあげて、

とある一間に押しこめてしまった。

そうまでされても成親は、事の意外さに、

日頃の判断力も失って、

唯、呆然《ぼうぜん》とするばかりである。

🪷🎼Taiko Destruction written by MFP【Marron Fields Production】

 

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