「絶ゆまじき すぢを頼みし 玉かづら思ひの
ほかにかけ離れぬる
死んだ乳母《まま》が遺言したこともあるからね、
つまらない私だけれど一生あなたの世話をしたいと思っていた。
あなたが捨ててしまうのももっともだけれど、
だれがあなたの代わりになって私を慰めてくれる者があると思って
立って行くのだろうと思うと恨めしいのよ」
と言って、
女王は非常に泣いた。
侍従も涙でものが言えないほどになっていた。
「乳母《まま》が申し上げましたことはむろんでございますが、
そのほかにもごいっしょに長い間苦労をしてまいりましたのに、
思いがけない縁に引かれて、しかも遠方へまで行ってしまいますとは」
と言って、また、
「玉かづら 絶えてもやまじ 行く道の
たむけの神も かけて誓はん
命のございます間はあなた様に誠意をお見せします」
などとも言う。
🪷夜闇に、風に紛れて(Under the cover of night and wind) by 蒲鉾さちこ
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