「院の御遺言をお守りくだすって、
陛下の御後見をしてくださいますことで、
今までどれほど感謝して参ったかしれませんが、
あなたにお報いする機会がいつかあることと、
のんきに思っておりましたことが、
今日になりましてはまことに残念でなりません」
お言葉を源氏へお取り次がせになる女房へ仰せられるお声が
のかに聞こえてくるのである。
源氏はお言葉をいただいても
お返辞ができずに泣くばかりである。
見ている女房たちにはそれもまた悲しいことであった。
どうしてこんなに泣かれるのか、
気の弱さを顕わに見せることではないかと
人目が思われるのであるが、
それにもかかわらず涙が流れる。
女院のお若かった日から今日までのことを思うと、
恋は別にして考えても惜しいお命が人間の力で
どうなることとも思われないことで限りもなく悲しかった。
🪷🎼Farewell written by H.Lang
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