出立の前夜に源氏は院のお墓へ謁するために北山へ向かった。
明け方にかけて月の出るころであったから、
それまでの時間に源氏は入道の宮へお暇乞いに伺候した。
お居間の御簾《みす》の前に源氏の座が設けられて、
宮御自身でお話しになるのであった。
宮は東宮のことを限りもなく不安に思召す御様子である。
聡明な男女が熱を内に包んで別れの言葉をかわしたのであるが、
それには洗練された悲哀というようなものがあった。
昔に少しも変わっておいでにならない
なつかしい美しい感じの受け取れる源氏は、
過去の十数年にわたる思慕に対して、
冷たい理智の一面よりお見せにならなかった恨みも
言ってみたい気になるのであったが、
今は尼であって、
いっそう道義的になっておいでになる方に
うとましいと思われまいとも考え、
自分ながらもその口火を切ってしまえば、
どこまで頭が混乱してしまうかわからない恐れもあって
心をおさえた。
【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
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