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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

源氏と頭中将の青海波🌊【源氏物語99 第七帖 紅葉賀1】朱雀院の行幸の 歌舞の演奏の試楽が行われた。源氏は青海波は美しく帝は落涙された。

朱雀《すざく》行幸は十月の十幾日ということになっていた。

その日の歌舞の演奏は

ことに選りすぐって行なわれるという評判であったから、

後宮の人々はそれが御所でなくて

陪観のできないことを残念がっていた。

藤壺の女御《にょご》に お見せになることのできないことを

遺憾に思召《おぼしめ》して、

当日と同じことを試楽として御前でやらせて御覧になった。

 

源氏の中将は青海波《せいがいは》を舞ったのである。

二人舞の相手は左大臣家の頭中将《とうのちゅうじょう》だった。

人よりはすぐれた風采《ふうさい》のこの公子も、

源氏のそばで見ては

桜に隣った深山《みやま》の木というより言い方がない。

夕方前のさっと明るくなった日光のもとで

青海波は舞われたのである。

地をする音楽もことに冴《さ》えて聞こえた。

同じ舞ながらも面《おもて》づかい、

足の踏み方などのみごとさに、

ほかでも舞う青海波とは全然別な感じであった。

舞い手が歌うところなどは、

極楽の迦陵頻伽《かりょうびんが》の声と聞かれた。

源氏の舞の巧妙さに帝は御落涙あそばされた

 

陪席した高官たちも親王方も同様である。

歌が終わって袖《そで》が下へおろされると、

待ち受けたようににぎわしく起こる楽音に

舞い手の頬《ほお》が染まって常よりもまた光る君と見えた。

東宮の母君の女御は舞い手の美しさを認識しながらも

心が平らかでなかったのである。

「神様があの美貌に見入って どうかなさらないかと思われるね、気味の悪い」

こんなことを言うのを、若い女房などは情けなく思って聞いた。

藤壺の宮は自分にやましい心がなかったらまして

美しく見える舞であろうと見ながらも夢のような気があそばされた。

 

その夜の宿直《とのい》の女御はこの宮であった。

「今日の試楽は青海波が王だったね。どう思いましたか」

宮はお返辞がしにくくて、

「特別に結構でございました」とだけ。

「もう一人のほうも悪くないようだった。

曲の意味の表現とか、手づかいとかに貴公子の舞はよいところがある。

専門家の名人は上手であっても、

無邪気な艶《えん》な趣をよう見せないよ。

こんなに試楽の日に皆見てしまっては

朱雀院の紅葉《もみじ》の日の興味がよほど薄くなると思ったが、

あなたに見せたかったからね」

など仰せになった。

 

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💠源氏物語 第七帖 紅葉賀💠(前半)

世間は朱雀院で開かれる紅葉賀に向けての準備でかまびすしい。

桐壺帝は最愛の藤壺が懐妊した喜びに酔いしれ、

一の院の五十歳の誕生日の式典という慶事を

より盛大なものにしようという意向を示しているため、 臣下たちも舞楽の準備で浮き立っている。

ところが、それほどまでに望まれていた藤壺の子は桐壺帝の御子ではなく、

その最愛の息子光源氏の子であった。

このことが右大臣側の勢力、特に東宮の母で藤壺のライバル、

また源氏の母を迫害した張本人である弘徽殿女御に発覚したら二人の破滅は確実なのだが、

若い源氏は向こう見ずにも藤壺に手紙を送り、また親しい女官を通して面会を求め続けていた。

一方で、藤壺は立后を控え狂喜する帝の姿に罪悪感を覚えながらも、

一人秘密を抱えとおす決意をし、源氏との一切の交流を持とうとしない。

源氏はそのため華やかな式典で舞を披露することになっても浮かない顔のままで、

唯一の慰めは北山から引き取ってきた藤壺の姪に当たる少女若紫(後の紫の上)の

無邪気に人形遊びなどをする姿であった。

帝は式典に参加できない藤壺のために、

特別に手の込んだ試楽(リハーサル)を宮中で催すことに決める。

源氏は青海波の舞を舞いながら御簾の奥の藤壺へ視線を送り、

藤壺も一瞬罪の意識を離れて源氏の美貌を認める。

源氏を憎む弘徽殿女御は、舞を見て

「まことに神が愛でて、さらわれそうな美しさだこと。おお怖い。」と皮肉り、

同席していたほかの女房などは「なんて意地の悪いことを」と噂する。

紅葉の中見事に舞を終えた翌日、

源氏はそれとは解らぬように藤壺に文を送ったところ、 思いがけず返事が届き胸を躍らせた。

五十の賀の後、源氏は正三位に。

頭中将は正四位下に叙位される。

この褒美に弘徽殿女御は「偏愛がすぎる」と不満を露わにし、東宮に窘められる。

翌年二月、藤壺は無事男御子(後の冷泉帝)を出産。

桐壺帝は最愛の源氏にそっくりな美しい皇子を再び得て喜んだが、

それを見る源氏と藤壺は内心罪の意識に苛まれるのだった。

 

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