中納言家持(6番)『新古今集』冬・620
💠かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きを見れば 夜ぞ更けにける
〜七夕の夜は天の川にカササギ🕊が翼を広げて橋を作り、牽牛・織女の仲立ちをするという。
そのカササギが渡した橋に霜が降り積もっているように 夜空は星で真っ白だ。
それを見ていると、夜もすっかり更けたと思う。
【大伴家持 おおとものやかもち】【中納言家持 ちゅうなごん やかもち】
中納言家持、大伴家持は万葉集の代表歌人である大伴旅人おおとものたびとの息子。
『万葉集』の編者と考えられており、家持自身の歌も『万葉集』には最も多く473首も採られています。家持は、防人の歌を集めて万葉集におさめました。
※兵部少輔ひょうぶしょうゆうとして、防人とじかに接した経験が「防人の歌」の収集につながったのかもしれません。
※兵部省(ひょうぶしょう、つわもののつかさ)の兵部少輔(従五位下相当) の役職
防人さきもりについて、わかりやすいブログです↓
諸国軍団の兵士から選び,兵部省の支配下に属します。
💠我が妻は いたく恋いらし 飲む水に
影(かご)さえ見えて よに忘られず
〜離れ離れとなった妻があまりに恋しく、水を飲む時に映る自分の顔さえ妻に見えてしまう。どうして忘れることなどできようか。
💠父母(ちちはは)が、頭(かしら)掻(か)き撫(な)で
幸(さき)くあれて 言ひし言葉ぜ、忘れかねつる
〜 父と母が 頭を撫でて、「元気でいてくださいね」と言った言葉が忘れられません。
💠韓衣(からころむ)裾(すそ)に取りつき泣く子らを
置きてぞ来(き)のや母(おも)なしにして
〜韓衣の裾に取りすがって泣く子どもたちを置き去りにして来てしまった。母親もいないままで‥
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