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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語81 第4巻 源氏そろえ①】不審気な宮の面をみつめながら低く語る頼政の声は、宮の心に強くひびいた。「君は、天照大神より四十八世の御子孫、神武天皇より七十八代にあたらせられる尊い御方。

そのころ、後白河法皇の第二皇子、

以仁《もちひと》親王は、

三条の高倉に住んでいたので高倉宮とよばれていた。

彼は十五歳の年に、近衛河原の大宮の御所で、

世を忍ぶように、ひっそり元服した。

宮は才芸、人に勝れ、ご筆跡もまことにうるわしく、

側近のものを感心させていた。

世が世なら、皇太子にもなり、

皇位につかれる方であったが、

故建春門院のそねみをうけて、

押しこめ同然の境遇におられた。

そのため、

春、花ほころべばその下で能筆を振っては詩を草し、

秋、月の宴には、愛蔵の笛を手にして雅曲を奏していた。

花に不遇の心をうたい、

月に満たされぬ思いを語る風雅の道に

世を捨てたように生活していた。

そして治承四年をむかえた。

時に高倉宮三十歳である。

 平家一色の京に源氏としてとどまりながら、

巧みな政治力でその地位を保っていたのは、

この頃近衛河原に住んでいた

源三位《げんざんみ》入道頼政であったが、

ある夜ひそかに高倉宮を尋ねた。

うけ入れられぬこの世に望みを捨てたのか、

自然を心の友として、

月日を送ってきた宮の前にあらわれた源三位頼政の顔は

緊張にみちていた。

何の火急の用かと

不審気な宮の面を凝視《みつめ》ながら低く語る頼政の声は、

宮の心に強くひびいた。

「君は、天照大神より四十八世の御子孫、

 神武天皇より七十八代にあたらせられる尊い御方。

 本来なら皇太子にも立ち、

 天子の位にもつかれるご身分です。

 しかるに君の御年すでに三十歳、

 今もってただの宮家でお過しになっていられる、

 残念なことと思召されぬか。

 ご病身の御方ならいざ知らず、

 才覚人にすぐれ給う宮が、

 世に捨てられたままで終られてよいと思召すか。

 平家の専横のため、

 鳥羽殿にご幽居されている父君法皇のお憤り、

 お悲しみを安じられようとはお思いになりませぬか」

たたみかける頼政の声は無気味な力をもって宮に迫ってきた。

「ただちに平家撃滅のご謀叛《むほん》あるのみですぞ。

 平家、この世から去らば、宮はご即位、

 そして法皇へのご孝養もできます。

 これに過ぐるものはござらぬはず。

 今こそ、宮のご決意の秋《とき》。

 もし、決意あられて令旨を下され給うなら、

 宮のもとに喜び勇さんで馳せ参ずる源氏の兵は、

 諸所諸国に宮のご想像より遥かに多いのです」

高倉宮の面をわれ知らずよぎる動揺の色を読みとったのか、

頼政は膝を進めて、

かねて調査してあるところを示した。

🌹🎼百鬼夜行 written by K’z Art Storage

 

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