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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

平家物語78 第4巻 厳島御幸②〜The Tale of the Heike 🌊

新帝の即位は、

皇室との親族関係樹立という清盛永年の悲願をかなえさせた。

入道相国夫婦は天皇の外祖父、外祖母である。

ともに准三后《じゅんさんごう》の宣旨をうけ、

年官年爵を頂戴した。

絵や花で飾られた衣をまとった公卿たちで

ごった返す入道邸は、院の御所を思わせた。

そこには、

殿上人を召使いのごとく顎で使う習慣のついた、

満面の笑《えみ》を浮べる入道夫婦がいたのである。

 この年の三月上旬、

位を譲られた高倉上皇が、

安芸の厳島へ御幸《みゆき》になるという話が伝わった。

ご退位後の諸社への御幸 始《はじめ》は、

八幡、賀茂、春日などであるから、

先例を破られてのご決意だったわけである。

不審に思う人は多く、

さまざまな臆測も例によって行なわれたが、

すべて的は外れていた。

上皇の安芸御幸は深い祈願が秘められてのご決意であった。

厳島は平家の守護神として、

別格に崇敬されている社である。

これに参拝されれば、

平家への協力への証《あか》しともなろう、

清盛の心を和《やわ》らげることもできよう。

が、これは表のことである。

上皇の心中には、

鳥羽殿に幽閉同然の毎日を送られている父法皇を、

この参拝で救いたかったのである。

 しかし、

この御幸は思わぬところから

横槍《よこやり》が入って一時延期された。

厳島神社に先をこされた叡山衆徒の憤激である。

面子《めんつ》をつぶされた衆徒どもは、

先例を楯《たて》にとった。

「天皇ご退位後の御幸始は、

 八幡、賀茂、春日にあらずば、

 わが叡山の山王にお出になるべきである。

 はるばる安芸の厳島とは奇怪なこと、

 いかなる先例もない。

 ご強行になるとあらば、

 神輿を振り奉って、断固お止め申せ」

出発は延引されたが、

上皇御幸の主旨、

まことにもっともと相好を崩した清盛のあっせんが功を奏し、

御幸出立は三月十七日にきまった。

 その日、八条大宮へ御幸になられた上皇は、

夜になると、

ただちに厳島明神の御神事を始められ、

翌十八日清盛邸へ入られた。

この夕刻、

上皇は前《さきの》右大将宗盛を御前によばれた。

「明日厳島へまいるが、

 その途次久々に鳥羽殿へ法皇をお尋ねしたいと思うが、

 この旨、入道へ知らせておかねば悪いであろうか」

すでに、安芸御幸の決意のとき、

このお気持があったことは明らかである。

宗盛はつつしんでこたえた。

「その儀、ご無用に存じまするが」

「それでは、早急に今宵《こよい》、

 鳥羽殿へ参り、このことを伝えてくれ。

 使いは卿がよろしかろう」

使いとなって、

その夜輿をとばした宗盛の知らせに、

法皇は夢ではないかと喜んだ。

🪷🎼破られていた約束~written by Keido Honda

 

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