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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語680 第21帖 乙女35】霜の白いころに若君は急いで出かけた。泣きはらした目を人に見られることが恥ずかしいのに、大宮にそばに呼ばれるだろう。気楽な場所へ行ってしまいたくなった。

「そらあんなことを言っている。

 くれなゐの 涙に深き 袖の色を

 浅緑とや いひしをるべき

 恥ずかしくてならない」

 と言うと、

 いろいろに 身のうきほどの 知らるるは

 いかに染めける 中の衣ぞ

と雲井の雁が言ったか言わぬに、

もう大臣が家の中にはいって来たので、

そのまま雲井の雁は立ち上がった。

取り残された見苦しさも恥ずかしくて、

悲しみに胸をふさがらせながら、

若君は自身の居間へはいって、

そこで寝つこうとしていた。

三台ほどの車に分乗して姫君の一行は

邸《やしき》をそっと出て行くらしい物音を聞くのも

若君にはつらく悲しかったから、

宮のお居間から、来るようにと、

女房を迎えにおよこしになった時にも、

眠ったふうをしてみじろぎもしなかった。

涙だけがまだ止まらずに一睡もしないで暁になった。

霜の白いころに若君は急いで出かけて行った。

泣きはらした目を人に見られることが恥ずかしいのに、

宮はきっとそばへ呼ぼうとされるのであろうから、

気楽な場所へ行ってしまいたくなったのである。

車の中でも若君はしみじみと破れた恋の悲しみを感じるのであったが、

空模様もひどく曇って、まだ暗い寂しい夜明けであった。

霜氷 うたて結べる 明けぐれの

空かきくらし 降る涙かな

こんな歌を思った

❄️🎼故郷からの手紙 written by ゆうり

 

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