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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語702 第22帖 玉鬘②〈たまかずら〉】美しくて、すでにもう高貴な相の備わっている姫君は、乳母達と共に九州に行く事になった。普通の旅役人の船に乗せて立って行く時、皆はは非常に悲しがった。

乳母たちは母君の行くえを知ろうと

いろいろの神仏に願を立て、

夜昼泣いて恋しがっていたが何のかいもなかった。

しかたがない、姫君だけでも夫人の形見に育てていたい、

卑しい自分らといっしょに

遠国へおつれすることを悲しんでいると

父君のほうへほのめかしたいとも思ったが、

よいつてはなかった。

その上母君の所在を自分らが知らずにいては、

問われた場合に返辞《へんじ》のしようもない。

よく馴染《なじ》んでおいでにならない姫君を、

父君へ渡して立って行くのも、

自分らの気がかり千万なことであろうし、

話をお聞きになった以上は、

いっしょにつれて行ってもよいと

父君が許されるはずがないなどと言い出す者もあって、

美しくて、すでにもう高貴な相の備わっている姫君を、

普通の旅役人の船に乗せて立って行く時、

その人々は非常に悲しがった。

幼い姫君も母君を忘れずに、

「お母様の所へ行くの」

と時々尋ねることが人々の心をより切なくした。

涙の絶え間もないほど夕顔夫人を恋しがって娘たちの泣くのを、

「船の旅は縁起を祝って行かなければならないのだから」

とも親たちは小言《こごと》を言った。

美しい名所名所を見物する時、

「若々しいお気持ちの方で、

 お喜びになるでしょうから、

 こんな景色《けしき》をお目にかけたい。

 けれども奥様がおいでになったら

 私たちは旅に出てないわけですね」

こんなことを言って、

京ばかりの思われるこの人たちの目には

帰って行く波もうらやましかった。

心細くなっている時に、

船夫《かこ》たちは荒々しい声で

「悲しいものだ、遠くへ来てしまった」

という意味の唄《うた》を唄う声が聞こえてきて、

姉妹《きょうだい》は向かい合って泣いた。

 

『船人もたれを恋ふるや大島のうら悲しくも声の聞こゆる』

『来《こ》し方も行方《ゆくへ》も知らぬ沖に出《い》でて

あはれ何処《いづこ》に君を恋ふらん』

海の景色を見てはこんな歌も作っていた。

⛵️🎼Waltz for Cloudy Days written by  のる

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