2023-03-20から1日間の記事一覧
初秋の七月になって宮は御所へおはいりになった。 最愛の方が懐妊されたのであるから、 帝のお志はますます藤壺の宮にそそがれるばかりであった。 少しお腹《なか》がふっくりとなって 悪阻《つわり》の悩みに 顔の少しお痩せになった宮のお美しさは、 前よ…
源氏の恋の万分の一も告げる時間のあるわけはない。 永久の夜が欲しいほどであるのに、 逢わない時よりも恨めしい別れの時が至った。 見てもまた 逢ふ夜 稀《まれ》なる夢の中《うち》に やがてまぎるるわが身ともがな 涙にむせ返って言う源氏の様子を見ると…
↑源氏物語68の間違いです 「少納言の乳母《めのと》という人がいるはずだから、 その人に逢って詳しく私のほうの心持ちを伝えて来てくれ」 などと源氏は命じた。 どんな女性にも関心を持つ方だ、 姫君はまだきわめて幼稚であったようだのに と惟光は思って…