2023-02-20から1日間の記事一覧
源氏よりは八歳上の二十五であったから、 不似合いな相手と恋に堕《お》ちて、 すぐにまた愛されぬ物思いに沈む運命なのだろうかと、 待ち明かしてしまう夜などには 煩悶《はんもん》することが多かった。 霧の濃くおりた朝、帰りをそそのかされて、 ねむそ…
「そんなことから隣の家の内の秘密が わからないものでもないと思いまして、 ちょっとした機会をとらえて隣の女へ手紙をやってみました。 するとすぐに書き馴《な》れた達者な字で返事がまいりました、 相当によい若い女房もいるらしいのです」 「おまえは、…
では その女房をしているという女たちなのであろうと源氏は解釈して、 いい気になって、物馴《ものな》れた戯れをしかけたものだと思い、 下の品であろうが、 自分を光源氏と見て詠んだ歌をよこされたのに対して、 何か言わねばならぬという気がした。 とい…