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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

不思議な 夕顔の花の女君【源氏物語 37 第4帖 夕顔3】夕顔の家の女君に返歌をする。 謎の美しい女主人がいるらしいと知り 気になる源氏

では その女房をしているという女たちなのであろうと源氏は解釈して、

 いい気になって、物馴《ものな》れた戯れをしかけたものだと思い、

 下の品であろうが、 

自分を光源氏と見て詠んだ歌をよこされたのに対して、

 何か言わねばならぬという気がした。

 というのは女性にはほだされやすい性格だからである。

 懐紙《ふところがみ》に、

別人のような字体で書いた。

 『寄りてこそ それかとも 見め黄昏《たそが》れに

  ほのぼの見つる 花の夕顔』 

花を折りに行った随身に持たせてやった。

夕顔の花の家の人は源氏を知らなかったが、

隣の家の主人筋らしい貴人はそれらしく思われて贈った歌に、

返事のないのにきまり悪さを感じていたところへ、

わざわざ使いに返歌を持たせてよこされたので、

またこれに対して何か言わねばならぬなどと

皆で言い合ったであろうが、

身分をわきまえないしかただと反感を持っていた随身は、

渡す物を渡しただけですぐに帰って来た。 

 

前駆の者が馬上で掲げて行く松明《たいまつ》の明りが

 ほのかにしか光らないで源氏の車は行った。

 高窓はもう戸がおろしてあった。 

その隙間《すきま》から蛍以上に かすかな灯の光が見えた。

 源氏の恋人の六条 貴女《きじょ》の邸《やしき》は大きかった。 

広い美しい庭があって、 

家の中は気高く上手に住み馴らしてあった。

 まだまったく源氏の物とも思わせない、

 打ち解けぬ貴女を扱うのに心を奪われて、

 もう源氏は夕顔の花を思い出す余裕を持っていなかったのである。

 早朝の帰りが少しおくれて、

 日のさしそめたころに出かける源氏の姿には、

 世間から大騒ぎされるだけの美は十分に備わっていた。

  今朝《けさ》も五条の蔀風《しとみふう》の門の前を通った。

 以前からの通り路《みち》ではあるが、

 あのちょっとしたことに興味を持ってからは、

 行き来のたびにその家が源氏の目についた。

 幾日かして惟光が出て来た。 

 

「病人がまだひどく衰弱しているものでございますから、

 どうしてもそのほうの手が離せませんで、失礼いたしました」

 こんな挨拶をしたあとで、 

少し源氏の君の近くへ膝《ひざ》を進めて

惟光朝臣《これみつあそん》は言った。

 「お話がございましたあとで、

  隣のことによく通じております者を呼び寄せまして、

  聞かせたのでございますが、よくは話さないのでございます。 

 この五月ごろからそっと来て同居している人があるようですが、

  どなたなのか、

 家の者にもわからせないようにしていますと申すのです。

  時々私の家との間の垣根《かきね》から

 私はのぞいて見るのですが、

  いかにもあの家には若い女の人たちがいるらしい影が 

 《すだれ》から見えます。

  主人がいなければつけない裳《も》を 

 言いわけほどにでも女たちがつけておりますから、

  主人である女が一人いるに違いございません。

  昨日 夕日がすっかり家の中へさし込んでいました時に、

  すわって手紙を書いている女の顔が非常にきれいでした。

  物思いがあるふうでございましたよ。

  女房の中には泣いている者も確かにおりました」

 源氏はほほえんでいたが、 

もっと詳しく知りたいと思うふうである。

 自重をなさらなければならない身分は身分でも、

 この若さと、この美の備わった方が、

 恋愛に興味をお持ちにならないでは、

 第三者が見ていても物足らないことである。

 恋愛をする資格がないように思われているわれわれでさえも

 ずいぶん女のことでは好奇心が動くのであるからと 

惟光《これみつ》は主人をながめていた。 

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