今になってまた若々しい恋の手紙を人に送るようなことも
似合わしくないことであると源氏は思いながらも、
昔から好意も友情もその人に持たれながら、
恋の成り立つまでにはならなかったのを思うと、
もうあとへは退《ひ》けない気になっていて、
再び情火を胸に燃やしながら心をこめた手紙を続いて送っていた。
東の対のほうに離れていて、
前斎院の宣旨を源氏は呼び寄せて相談をしていた。
女房たちのだれの誘惑にもなびいて行きそうな人々は
狂気にもなるほど源氏をほめて夢中になっているこんな家の中で、
朝顔の女王だけは冷静でおありになった。
お若い時すらも友情以上のものを
この人にお持ちにならなかったのであるから、
今はまして自分もその人も恋愛などをする年ではなくなっていて、
花や草木のことの言われる手紙にも
すぐに返事を出すようなことは人の批評することがうるさいと、
それも遠慮をされるようになって
いつまでたってもお心の動く様子はなかった。
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