姫君は何も知らずにいた。
のぞいた居間に
可憐な美しい顔をして姫君がすわっているのを見て、
大臣の心に父の愛が深く湧《わ》いた。
「いくら年が行かないからといって、
あまりに幼稚な心を持っているあなただとは知らないで、
われわれの娘としての人並みの未来を
私はいろいろに考えていたのだ。
あなたよりも私のほうが廃《すた》り物になった気がする」
と大臣は言って、
それから乳母《めのと》を責めるのであった。
乳母は大臣に対して何とも弁明ができない。
ただ、
「こんなことでは大事な内親王様がたにも
あやまちのあることを昔の小説などで読みましたが、
それは御信頼を裏切るおそばの者があって、
男の方のお手引きをするとか、
また思いがけない隙《すき》ができたとかいうことで
起きるのですよ。
こちらのことは何年も
始終ごいっしょに遊んでおいでになった間なんですもの。
お小さくはいらっしゃるし宮様が寛大にお扱いになる以上に
われわれがお制しすることはできないと
そのままに見ておりましたけれど、
それも一昨年ごろからははっきりと
日常のことが御区別できましたし、
またあの方が同じ若い人といっても
だらしのない不良なふうなどは少しもない方なのでしたから、
まったく油断をいたしましたわね」
などと自分たち仲間で なげいているばかりであった。
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