「あなたがそうお言いになるのはもっともだけれど、
私はまったく二人の孫が何を思って、
何をしているかを知りませんでした。
私こそ残念でなりませんのに、
同じように罪を私が負わせられるとは恨めしいことです。
私は手もとへ来た時から、特別にかわいくて、
あなたがそれほどにしようとお思いにならないほど大事にして、
私はあの人に
女の最高の幸福を受けうる価値もつけようとしてました。
一方の孫を溺愛《できあい》して、
ああしたまだ少年の者に
結婚を許そうなどとは思いもよらぬことです。
それにしても、
だれがあなたにそんなことを言ったのでしょう。
人の中傷かもしれぬことで、
腹をお立てになったりなさることはよくないし、
ないことで娘の名に傷をつけてしまうことにもなりますよ」
「何のないことだものですか。
女房たちも批難して、
蔭《かげ》では笑っていることでしょうから、
私の心中は穏やかでありようがありません」
と言って大臣は立って行った。
幼い恋を知っている人たちは、
この破局に立ち至った少年少女に同情していた。
先夜の内証話をした人たちは逆上もしてしまいそうになって、
どうしてあんな秘密を話題にしたのであろうと
後悔に苦しんでいた。
🪻🎼落涙 written by ゆうり
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