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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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北山の少女は藤壺の姪🌸【源氏物語 62 第5帖 若紫 6】源氏は、姫君が 按察使大納言の姫君と兵部卿の宮の間にできた子であると知る。藤壺の宮の姪になる

「その大納言にお嬢さんがおありになるということでしたが、

 それはどうなすったのですか。

 私は好色から伺うのじゃありません、

 まじめにお尋ね申し上げるのです」

少女は大納言の遺子であろうと想像して源氏が言うと、

「ただ一人娘がございました。

 亡くなりましてもう十年余りになりますでしょうか、

 大納言は宮中へ入れたいように申して、

 非常に大事にして育てていたのですがそのままで死にますし、

 未亡人が一人で育てていますうちに、

 だれがお手引きをしたのか兵部卿《ひょうぶきょう》の宮

 通っていらっしゃるようになりまして、

 それを宮の御本妻はなかなか権力のある夫人で、

 やかましくお言いになって、

 私の姪《めい》はそんなことからいろいろ苦労が多くて、

 物思いばかりをしたあげく亡くなりました。

 物思いで病気が出るものであることを私は姪を見てよくわかりました」

などと僧都は語った。

それではあの少女は、

昔の按察使大納言の姫君兵部卿の宮の間にできた子であるに違いないと

源氏は悟ったのである。

 

藤壺の宮の兄君の子であるがために

その人に似ているのであろうと思うと

いっそう心の惹《ひ》かれるのを覚えた。

身分のきわめてよいのがうれしい、

愛する者を信じようとせずに疑いの多い女でなく、

無邪気な子供を、

自分が未来の妻として教養を与えていくことは楽しいことであろう、

それを直ちに実行したいという心に源氏はなった。

 

「お気の毒なお話ですね。

 その方には忘れ形見がなかったのですか」

なお明確に少女のだれであるかを知ろうとして源氏は言うのである。

「亡くなりますころに生まれました。それも女です。

 その子供が姉の信仰生活を静かにさせません。

 姉は年を取ってから

 一人の孫娘の将来ばかりを心配して暮らしております」

聞いている話に、夕方見た尼君の涙を源氏は思い合わせた。

 

「妙なことを言い出すようですが、私にその小さいお嬢さんを、

託していただけないかとお話ししてくださいませんか。

私は妻について一つの理想がありまして、

ただ今結婚はしていますが、

普通の夫婦生活なるものは私に重荷に思えまして、

まあ独身もののような暮らし方ばかりをしているのです。

まだ年がつり合わぬなどと常識的に判断をなすって、

失礼な申し出だと思召《おぼしめ》すでしょうか」

と源氏は言った。

「それは非常に結構なことでございますが、

 まだまだとても幼稚なものでございますから、

 仮にもお手もとへなど迎えていただけるものではありません。

 まあ女というものは 夫のよい指導を得て

 一人前になるものなのですから、

 あながち早過ぎるお話とも何とも私は申されません。

 子供の祖母と相談をいたしまして

 お返辞をするといたしましょう」

 こんなふうにてきぱき言う人が 僧

形の厳《いか》めしい人であるだけ、

若い源氏には恥ずかしくて、

望んでいることをなお続けて言うことができなかった。

 

阿弥陀《あみだ》様がいらっしゃる堂で

 用事のある時刻になりました。

 初夜の勤めがまだしてございません。済ませましてまた」

こう言って僧都は御堂《みどう》のほうへ行った。

 

病後の源氏は気分もすぐれなかった。

雨がすこし降り冷ややかな山風が吹いて

そのころから滝の音も強くなったように聞かれた。

そしてやや眠そうな読経《どきょう》の声が絶え絶えに響いてくる、

こうした山の夜はどんな人にも物悲しく寂しいものであるが、

まして源氏はいろいろな思いに悩んでいて、

眠ることはできないのであった。

初夜だと言ったが実際はその時刻よりも更《ふ》けていた。

 

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