2024-10-19から1日間の記事一覧
【平家物語126 第5巻 文覚の荒行②】熱気こもる藪の中に寝ていると、蚊が群がり寄り思う存分血を吸う。虻や蜂が刺す、大きな毒蟻が噛み、文覚の五体は、無惨な有様となったが、彼は足の指一つ動かさなかった。
熱気こもる藪の中に吹き出す汗の流るるにまかせて寝ていると、 蚊が群がり寄って思う存分血を吸う、虻《あぶ》が刺し、蜂が刺す、 大きな毒蟻《どくあり》が噛み、文覚の五体は、 しばらくすると無慚《むざん》な有様となったが、彼は足の指一つ動かさなかっ…
清盛のいうように頼朝はさる平治元年十二月、 父|左馬頭《さまのかみ》義朝の謀叛によって殺される運命にあったが、 池禅尼の必死の嘆願で死を免れ、十四歳のとき、 永暦《えいりゃく》元年三月二十日、 伊豆国|北条《ほうじょう》蛭《ひる》が小島《こじ…
その中で最も激怒したのは清盛である。 青筋を立ててののしる清盛の姿をみては、 人々も何かただごとでないものを感じた。 「そもそも頼朝という奴は、あの平治元年十二月、 父|義朝《よしとも》の謀叛で死罪になるはずだったのだ。 池禅尼《いけのぜんに》…
東国の一地方の局部的戦闘にすぎぬではないか、 いや源氏勢のあいついだ蜂起は無視できぬ、今のうちに芽を刈るにしくはない、 などと一見勝利を伝えた大庭の早馬の注進は、 福原の平家の間にさまざまな波紋を呼んだのであった。 事実、遷都して、しばらくこ…