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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語101 第4巻 橋合戦②】三位入道の一族、渡辺党があいついで橋を渡り、刀折れれば敵のを奪い、重傷で倒れれば残る力で腹かき切って川へ飛ぶ。両軍の血で橋は染り、雄叫びは火花の散るほど激しかった。

堂衆の一人、

筒井《つつい》の浄妙明秀《じょうみょうめいしゅう》は

黒皮縅の鎧に五枚兜の緒をしめ、

二十四本の黒ほろの矢を背に白柄の大長刀を掴んで橋に一人進み、

轟く大音声をあげた。

「遠からん者は音にも聞け、近からん人は目にも見よ、

 三井寺には隠れなき筒井の浄妙明秀という一人当千のつわもの、

 われと思わん人々は近う寄れ、見参せん」

 といい終るや否や、

彼の手は黒ほろの矢を弓につがえて放った。

たまらず射抜かれた一人が倒れる間もなく、

明秀の弓から引きも切らず正確な矢が飛ぶ。

背の箙《えびら》に矢が一本もなくなったとき、

十二人が射殺され、

十一人が負傷したという速射であったが、

弓をがらりと捨てた明秀はつらぬきを脱いではだしとなるや、

ひらりと橋桁にとんだ。

猿の如く橋桁を走るとたちまち敵陣に近づき、

白柄の大長刀を打ち振う。

小癪っとばかりに躍りかかる敵兵一人二人が血煙をあげ、

その数五人を数えた。

立ち向う六人目の敵の長刀を心得たりと受け止めた時、

彼の長刀は真中より折れた。

すかさず腰の黒漆の太刀を抜けば、

そのまわりを敵兵が取り囲んだ。

しかし明秀の振う大刀は縦横に暴れた、

十字を画き水車のように廻っては四方に斬りつけた。

すでに八人の敵が死んだ。

九人目に、

こやつもと真向から鋭い刃風とともに打下ろした明秀の太刀は

兜の頂に当った。

目貫の元から折れた刀身は抜けて川に飛んだ。

いまや頼みとするは腰刀一つ、

明秀はここを死場所と覚悟して死物狂いで再び大勢の敵に向った。

 このさまを見て続いたのは阿闍梨慶秀の弟子

一来法師《いちらいほうし》という大剛力のもの、

長刀を小枝のように打ち振りながら敵を倒していたが、

橋桁が狭く前に明秀がいるので進めない、

そこで「浄妙房、ご免」

と叫ぶや、

彼の兜の錣《しころ》に手をかけると一気に跳りこえた。

剛力で斬りつける長刀にしばし敵を支えていたが、

おめいて斬りかかる敵の胴を見事に薙《な》いで二つにしたとき、

後へ廻った敵兵の刃に死んだ。

浄妙明秀はようやく帰って来たが、

矢の跡六十三、しかし何れも急所を外れていた。

橋上はたちまち混戦になった。

三位入道の一族、渡辺党があいついで橋を渡り、

刀折れれば敵のを奪い、

重傷で倒れれば残る力で腹かき切って川へ飛んだ。

両軍の血で橋は染り、

雄叫びは火花の散るほど激しかった。

🗡️🎼密林遭遇戦 written by Heitaro Ashibe

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