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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語100 第4巻 橋合戦①】但馬の長刀は神速の業をみせた。頭を狙う矢には身を沈め、低い矢は飛びこえた。真向うから飛び来る矢は長刀で丁と切って落し、横から襲う矢を騒がず柄ではたき落す‥

しばらく進むうちに、

高倉宮は宇治橋に来るまで六度も落馬した。

側近が昨夜お寝みにならぬお疲れのためであろうと、

平等院《びょうどういん》にお入れして休息させた。

敵襲をおもんばかって、宇治橋の橋板三間を引きはがし、

宮と共に兵もここで一息入れていた。

 一方、宮奈良へ落ち給う、

という情報を掴んだ六波羅では、

ただちに追って討ちとれと、

大将軍に左兵衛督知盛《さひょうえのかみとももり》、

頭中将重衡《とうのちゅうじょうしげひら》、

薩摩守忠度《さつまのかみただのり》、

侍大将に上総守忠清《かずさのかみただきよ》、

飛騨守景家《ひだのかみかげいえ》を始めとした

軍勢二万八千余騎が木幡山《こばたやま》を越えて急追した。

 六波羅勢の先兵が宇治橋のたもとにつけば、

橋の板が外され、川向うには頼政の兵が陣を構えていた。

見るみるうちに平家の勢が橋のたもとに黒山のように集った。

どっと起る平家の鬨《とき》の声に応じて、

宮の側でも鬨をあげる。

と、小勢と見てとったか平家が

一斉に橋を押し渡ろうと進みはじめた。

あわてたのは先陣の兵である。

「橋板がとってあるぞ、進むな、進むな」

 と声を嗄《か》らしての制止も、

はやり立った後陣の耳に入るわけがない。

われ先にと進む兵たちに押され押された先陣の兵は、

悲鳴をあげながら川に落ちては次々と溺れていった。

ようやく事態を察して兵を収めた平家と、

高見の嘲笑を投げていた宮側とは

川をはさんで対峙《たいじ》した。

 この日を最後と心に決めた源三位頼政は、

科皮縅《しなかわおどし》の鎧を着て、

兜はつけていない。

嫡子伊豆守仲綱も兜を外している、

これは弓を強く引くためであった。

 両軍の矢合せが戦を告げた。

宮側の五智院の但馬《たじま》、

渡辺の省《はぶく》などが射かける矢は、

強弓から放たれた。

楯を抜き鎧を通して人を倒した。

両軍から矢が飛び交い、

矢叫びの声高まって行くなかに、

一人の侍が大長刀を鞘《さや》からぬくと、

するすると橋の上に進んだ。

五智院の但馬である。

これを見た平家から、不敵な奴、

よき目標ぞ、射ちとれ、射ちとれと雨のように矢が飛んだ。

橋の真中に構えた但馬の長刀は神速の業をみせた。

頭を狙う矢には身を沈め、低い矢は飛びこえた。

真向うから飛び来る矢は長刀で丁と切って落し、

横から襲う矢を騒がず柄ではたき落す。

長刀の刀がきらめくとみるや

二つになった矢が散り落ちるさまに敵も味方も感嘆した。

⚔️🎼#RASHOMON written by#Heitaro Ashibe

 

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