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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

源氏のお出かけを紫の君は寂しがる【源氏物語 108 第七帖 紅葉賀10】紫の君を愛おしく思い 外出をやめる源氏だが、左大臣家では どんな女性なのだろうと女房達は噂した。

🌷保曾呂倶世利《ほそろぐせり》というのは変な名の曲であるが、

それをおもしろく笛で源氏が吹くのに、

合わせる琴の弾き手は小さい人であったが音の間が違わずに弾けて、

上手になる手筋と見えるのである。

灯《ひ》を点《とも》させてから絵などをいっしょに見ていたが、

さっき源氏はここへ来る前に出かける用意を命じてあったから、

供をする侍たちが促すように御簾《みす》の外から、

「雨が降りそうでございます」

などと言うのを聞くと、

紫の君はいつものように心細くなってめいり込んでいった。

絵も見さしてうつむいているのがかわいくて、

こぼれかかっている美しい髪をなでてやりながら、

「私がよそに行っている時、あなたは寂しいの」  

と言うと女王はうなずいた。

 

「私だって一日あなたを見ないでいるともう苦しくなる。

 けれどあなたは小さいから私は安心していてね、

 私が行かないといろいろな意地悪を言っておこる人がありますからね。

 今のうちはそのほうへ行きます。

 あなたが大人になれば決してもうよそへは行かない。

 人からうらまれたくないと思うのも、

 長く生きていて、あなたを幸福にしたいと思うからです」

などとこまごま話して聞かせると、さすがに恥じて返辞もしない。

 

そのまま膝《ひざ》に寄りかかって寝入ってしまったのを見ると、

源氏はかわいそうになって、

「もう今夜は出かけないことにする」

と侍たちに言うと、その人らはあちらへ立って行って、

間もなく源氏の夕飯が西の対へ運ばれた。

源氏は女王を起こして、

「もう行かないことにしましたよ」

と言うと慰んで起きた。

そうしていっしょに食事をしたが、

姫君はまだはかないようなふうでろくろく食べなかった。

「ではお寝《やす》みなさいな」

出ないということは嘘でないかと

危ながってこんなことを言うのである。

こんな可憐な人を置いて行くことは、

どんなに恋しい人の所があってもできないことであると源氏は思った。

 

こんなふうに引き止められることも多いのを、

侍などの中には左大臣家へ伝える者もあってあちらでは、

「どんな身分の人でしょう。失礼な方ですわね。

 二条の院へ どこのお嬢さんが

 お嫁《かたづ》きになったという話もないことだし、

 そんなふうにこちらへのお出かけを引き止めたり、

 またよくふざけたりしていらっしゃるというのでは、

 りっぱな御身分の人とは思えないじゃありませんか。

 御所などで始まった関係の女房級の人を

 奥様らしく二条の院へお入れになって、 

 それを批難さすまいとお思いになって、

 だれということを秘密にしていらっしゃるのですよ。

 幼稚な所作が多いのですって」

などと女房が言っていた。

 

少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷

https://syounagon-web-1.jimdosite.com

 

💠源氏物語 第七帖 紅葉賀💠(前半) 

世間は朱雀院で開かれる紅葉賀に向けての準備でかまびすしい。 

桐壺帝は最愛の藤壺が懐妊した喜びに酔いしれ、

 一の院の五十歳の誕生日の式典という慶事を

より盛大なものにしようという意向を示しているため、

臣下たちも舞楽の準備で浮き立っている。

ところが、それほどまでに望まれていた藤壺の子は

桐壺帝の御子ではなく、

 その最愛の息子光源氏の子であった。

 このことが右大臣側の勢力、特に東宮の母で藤壺のライバル、

 また源氏の母を迫害した張本人である弘徽殿女御に

発覚したら二人の破滅は確実なのだが、

 若い源氏は向こう見ずにも藤壺に手紙を送り、

また親しい女官を通して面会を求め続けていた。

 一方で、藤壺は立后を控え狂喜する帝の姿に罪悪感を覚えながらも、

 一人秘密を抱えとおす決意をし、

源氏との一切の交流を持とうとしない。 

源氏はそのため華やかな式典で

舞を披露することになっても浮かない顔のままで、

 唯一の慰めは北山から引き取ってきた

藤壺の姪に当たる少女若紫(後の紫の上)の

 無邪気に人形遊びなどをする姿であった。 

帝は式典に参加できない藤壺のために、 

特別に手の込んだ試楽(リハーサル)を宮中で催すことに決める。 

源氏は青海波の舞を舞いながら御簾の奥の藤壺へ視線を送り、

 藤壺も一瞬罪の意識を離れて源氏の美貌を認める。

 源氏を憎む弘徽殿女御は、舞を見て 

「まことに神が愛でて、さらわれそうな美しさだこと。おお怖い。」

と皮肉り、

 同席していたほかの女房などは

「なんて意地の悪いことを」

と噂する。 

紅葉の中見事に舞を終えた翌日、

源氏はそれとは解らぬように藤壺に文を送ったところ、

思いがけず返事が届き胸を躍らせた。

 五十の賀の後、源氏は正三位に。

頭中将は正四位下に叙位される。

この褒美に弘徽殿女御は

「偏愛がすぎる」と不満を露わにし、東宮に窘められる。

 翌年二月、藤壺は無事男御子(後の冷泉帝)を出産。

 桐壺帝は最愛の源氏にそっくりな美しい皇子を再び得て喜んだが、

それを見る源氏と藤壺は内心罪の意識に苛まれるのだった。

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