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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語796 第26帖 常夏7】自分の手もとへ置いて結婚をさせ、自分の恋人にもしておこう‥深い愛をもって臨めば、夫のあることなどは問題でなく恋は成り立つに違いないと けしからぬことも源氏は思った。

 玉鬘の西の対への訪問があまりに続いて人目を引きそうに思われる時は、

源氏も心の鬼にとがめられて間は置くが、

そんな時には何かと用事らしいことをこしらえて手紙が送られるのである。

この人のことだけが毎日の心にかかっている源氏であった。

なぜよけいなことをし始めて物思いを自分はするのであろう、

煩悶《はんもん》などはせずに感情のままに行動することにすれば、

世間の批難は免れないであろうが、

それも自分はよいとして女のために気の毒である。

どんなに深く愛しても春の女王《にょおう》と同じだけに

その人を思うことの不可能であることは、自分ながらも明らかに知っている。

第二の妻であることによって幸福があろうとは思われない。

自分だけはこの世のすぐれた存在であっても、

自分の幾人もの妻の中の一人である女に名誉のあるわけはない。

平凡な納言級の人の唯一の妻になるよりも決して女のために幸福でないと

源氏は知っているのであったから、しいて情人にするのが哀れで、

兵部卿《ひょうぶきょう》の宮か右大将に結婚を許そうか、

そうして良人《おっと》の家へ行ってしまえば

この悩ましさから自分は救われるかもしれない。

消極的な考えではあるがその方法を取ろうかと思う時もあった。

しかもまた西の対へ行って美しい玉鬘を見たり、

このごろは琴を教えてもいたので、

以前よりも近々と寄ったりしては決心していたことが揺《ゆら》いでしまうのであった。

玉鬘もこうしたふうに源氏が扱い始めたころは、

恐ろしい気もし、反感を持ったが、

それ以上のことはなくて、やはり信頼のできそうなのに安心して、

しいて源氏の愛撫《あいぶ》からのがれようとはしなかった。

返辞などもなれなれしくならぬ程度にする愛嬌《あいきょう》の多さは

知らず知らずに十分の魅力になって、

前の考えなどは合理的なものでないと源氏をして思わせた。

それでは今のままに自分の手もとへ置いて結婚をさせることにしよう、

そして自分の恋人にもしておこう、

処女である点が自分に躊躇《ちゅうちょ》をさせるのであるが、

結婚をしたのちもこの人に深い愛をもって臨めば、

良人《おっと》のあることなどは問題でなく恋は成り立つに違いないと

こんなけしからぬことも源氏は思った。

それを実行した暁にはいよいよ深い煩悶《はんもん》に源氏は陥ることであろうし、

熱烈でない愛しようはできない性質でもあるから

悲劇がそこに起こりそうな気のすることである。

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