まだ除夜の鐘には、すこし間がある。
とまれ、今年も大晦日《おおつごもり》まで無事に暮れた。
だが、あしたからの来る年は。
洛中の耳も、大極殿《だいごくでん》のたたずまいも、
やがての鐘を、
偉大な予言者の声にでも触《ふ》れるように、
霜白々と、待ち冴えている。
洛内四十八ヵ所の篝屋《かがりや》の火も、
つねより明々と辻を照らし、
淡い夜靄《よもや》をこめた巽《たつみ》の空には、
羅生門の甍《いらか》が、夢のように浮いて見えた。
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