源氏は女院をお慕いあそばされる御親子の情から、
夜も昼もお悲しいのであろうと拝見した、
その日に式部卿《しきぶきょう》親王の薨去が奏上された。
いよいよ天の示しが急になったというように
帝はお感じになったのであった。
こんなころであったからこの日は源氏も自邸へ退出せずに
ずっとおそばに侍していた。
しんみりとしたお話の中で、
「もう世の終わりが来たのではないだろうか。
私は心細くてならないし、
天下の人心もこんなふうに不安になっている時だから
私はこの地位に落ち着いていられない。
女院がどう思召すかと御遠慮をしていて、
位を退くことなどは言い出せなかったのであるが、
私はもう位を譲って責任の軽い身の上になりたく思う」
こんなことを帝は仰せられた。
長い夜 written by キュス
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