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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【私本太平記30 第1巻 ばさら大名⑤】全ての伊達をさしてもいうし軌道を外れた行為、とりすました者への反逆、世のしきたりに斟酌しない露悪的な振舞いをも、ひッくるめて婆娑羅に生きる人。といったりする。

——ははあ。

かかる態の人物の生き方やら嗜好をさしていうものか。

又太郎はふと思いついた。

ちかごろ“婆娑羅《ばさら》”という流行語をしきりに聞く。

おそらくは、

田楽役者の軽口などから流行《はや》り出したものであろうが、

「ばさらな装い」とか。「ばさらなる致しかた」とか。

または

「——ばさらに遊ぼう」「ばさらに舞え」

「世の中ばさらに送らいでは」などと、

その語意、その場合も、さまざまにつかいわけられている。

 むかし山門の法師間には

“六方者《ろっぽうもの》”という語があったが、

婆娑羅の意味は、それに近くてもっと広い。

——花奢《かしゃ》、狼藉《ろうぜき》、風流、

放縦、大言、大酒、すべての伊達《だて》をさしてもいうし、

軌道を外れた行為や、とりすました者への反逆や、

そうした世のしきたりに斟酌《しんしゃく》しない

露悪的な振舞いをも、ひッくるめて、

——婆娑羅に生きる人。

といったりする。

 だから今の世には、鎌倉のばさら執権の下に、

ばさら御家人、ばさら市人《いちびと》、ばさら大尽、ばさら尼、

さては、

ばさら商売の田楽役者までが無数にいるのはふしぎでなかった。

「……読めたわ。ここの佐々木も、つまりはその、

 ばさら大名という者であったるか」

 又太郎の心のうちにも、

やっと談笑に溶《と》けうる支度ができつつあった。

 すぐ酒盤《しゅばん》が出る。

右馬介や土岐左近へも、陪膳《ばいぜん》が供された。

「坂東人《ばんどうびと》はみな酒がおつよいとうけたまわるが」

 と、佐々木高氏。

「なかなか。まだ自分ごときは曹司(部屋住み)の身でござれば」

 と足利高氏。

「ご遊歴とは、よい御身分。お羨ましい」

「いや、それもわびしい微行《しのび》の旅にすぎぬこと」

「鎌倉政所をお憚《はばか》りよの。

 とかく、掟縛《おきてしば》りはうるさいでのう。

……しかしお気づかい召されな。

万一あるとも、執権どのへは、

この高氏がいかようにもおとりなし申そうほどに」

 そこでふと、

「はははは。おん許も高氏、それがしも高氏。

気をつけぬと、こりゃ、ややこしい」

と、打笑った。

🌷🎼#眠るクラゲ written by #MATSU 

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