そんなころであるが大弐の夫人が突然訪ねて来た。
平生はそれほど親密にはしていないのであるが、
つれて行きたい心から、
作った女王の衣裳《いしょう》なども持って、
よい車に乗って来た得意な顔の夫人が
にわかに常陸の宮邸へ現われたのである。
門をあけさせている時から目にはいってくるものは
荒廃そのもののような寂しい庭であった。
門の扉も安定がなくなっていて倒れたのを、
供の者が立て直したりする騒ぎである。
この草の中にもどこかに三つだけの道は
ついているはずであると皆が捜した。
そしてやっと建物の南向きの縁の所へ車を着けた。
きまりの悪い迷惑なことと思いながら女王は
侍従を応接に出した。
煤《すす》けた几帳《きちょう》を押し出しながら
侍従は客と対したのである。
容貌《ようぼう》は以前に比べてよほど衰えていた。
しかしやつれながらもきれいで、
女王の顔に代えたい気がする。
🍂🎼孤影byハシマミ🍂
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