あなたも優しい人だから安心してお預けすることができるのです」
などと源氏が言った。
「母親らしく世話を焼かせていただくことも
これまではあまり少なくて退屈でしたから、
いいことだと思います、ごいっしょに住むのは」
と花散里は言っていた。
女房たちなどは源氏の姫君であることを知らずに、
「またどんな方をお迎えになるのでしょう。同じ所へね。
あまりに奥様を古物扱いにあそばすではありませんか」
と言っていた。
姫君は三台ほどの車に分乗させた女房たちといっしょに
六条院へ移って来た。
女房の服装なども右近が付いていたから田舎びずに調えられた。
源氏の所からそうした人たちに入り用な
綾《あや》そのほかの絹布類は呈供してあったのである。
その晩すぐに源氏は姫君の所へ来た。
九州へ行っていた人たちは昔光源氏という名は聞いたこともあったが、
田舎住まいをしたうちにそのまれな美貌の人が
この世に現存していることも忘れていて今ほのかな灯《ひ》の明りに
几帳《きちょう》の綻《ほころ》びから少し見える源氏の顔を見て
おそろしくさえなったのであった。
🌹🎼#秋の足音 written by #のる
少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋🪷も ぜひご覧ください🌟https://syounagon.jimdosite.com
🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画。チャンネル登録お願いします🪷
- 価格: 46000 円
- 楽天で詳細を見る