姫君が六条院へ移って行くことは簡単にもいかなかった。
まずきれいな若い女房と童女を捜し始めた。
九州にいたころには相当な家の出でありながら、
田舎へ落ちて来たような女を見つけ次第に雇って、
姫君の女房に付けておいたのであるが、
脱出のことがにわかに行なわれたためにそれらの人は
皆捨てて来て、三人のほかにはだれもいなかった。
京は広い所であるから、
市女《いちめ》というような者に頼んでおくと、
上手《じょうず》に捜してつれて来るのである。
だれの姫君であるかというようなことは
だれにも知らせてないのである。
いったん右近の五条の家に姫君を移して、
そこで女房を選《え》りととのえもし衣服の仕度も皆して、
十月に六条院へはいった。
源氏は新しい姫君のことを花散里に語った。
「私の愛していた人が、
むやみに悲観して郊外のどこかへ隠れてしまっていたのですが、
子供もあったので、
長い間私は捜させていたのですがなんら得る所がなくて、
一人前の女になるまでほかに置いたわけなのですが
その子のことが耳にはいった時に
すぐにも迎えておかなければと思って、
こちらへ来させることにしたのです。
もう母親は死んでいるのです。
中将をあなたの子供にしてもらっているのですから、
もう一人あったっていいでしょう。
世話をしてやってください。
簡単な生活をして来たのですから、
田舎風なことが多いでしょう。
何かにつけて教えてやってください」
「ほんとうにそんな方がおありになったのですか。
私は少しも知りませんでした。
お嬢さんがお一人で、少し寂しすぎましたから、
いいことですわね」
花散里はおおように言っている。
💐🎼#真実 written by #チョコミント
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