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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語701 第22帖 玉鬘1〈たまかずら〉】年月はどんなにたっても、源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。個性の違った恋人を幾人も得た人生の行路に、夕顔の君がいたならと遺憾に思っていた。

年月はどんなにたっても、

源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。

個性の違った恋人を幾人も得た人生の行路に、

その人がいたならばと遺憾に思われることが多かった。

右近は何でもない平凡な女であるが、

源氏は夕顔の形見と思って庇護するところがあったから、

今日では古い女房の一人になって重んぜられもしていた。

須磨《すま》へ源氏の行く時に夫人のほうへ

女房を皆移してしまったから、

今では紫夫人の侍女になっているのである。

善良なおとなしい女房と夫人も認めて愛していたが、

右近の心の中では、夕顔夫人が生きていたなら、

明石《あかし》夫人が愛されているほどには

源氏から思われておいでになるであろう、

たいした恋でもなかった女性たちさえ、

余さず将来の保証をつけておいでになるような

情け深い源氏であるから、

紫夫人などの列にははいらないでも、

六条院へのわたましの夫人の中には

おいでになるはずであるといつも悲しんでいた。

西の京へ別居させてあった姫君がどうなったかも

右近は知らずにいた。

夕顔の死が告げてやりにくい心弱さと、

今になって相手の自分であったことは知らせないようにと

源氏から言われたことでの遠慮とが、

右近のほうから尋ね出すことをさせなかった。

そのうちに、

乳母《めのと》の良人《おっと》が

九州の少弐《しょうに》に任ぜられたので、

一家は九州へ下った。姫君の四つになる年のことである。

🪷🎼私達の旅路 written by のる

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