二条の院の東に隣った邸《やしき》は
院の御遺産で源氏の所有になっているのを
このごろ源氏は新しく改築させていた。
花散里《はなちるさと》などという恋人たちを住ませるための
設計をして造られているのである。
源氏は明石《あかし》の君の妊娠していたことを思って、
始終気にかけているのであったが、
公私の事の多さに、
使いを出して尋ねることもできない。
三月の初めにこのごろが産期になるはずであると思うと
哀れな気がして使いをやった。
「先月の十六日に女のお子様がお生まれになりました」
という報《しら》せを聞いた源氏は
愛人によってはじめての女の子を得た喜びを深く感じた。
なぜ京へ呼んで産をさせなかったかと残念であった。
💐新しい朝、風に乗って(Blandnew morning,ride the wind)
written by蒲鉾さちこ
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