「で、このことはしばらく秘密にしておこう。
評判はどんなにしていても立つものだが、
せめてあなたたちは、
事実でないと否定をすることに骨を折るがいい。
そのうち私の邸《やしき》へつれて行くことにする。
宮様の御好意が足りないからなのだ。
あなたがたはいくら何だっても、
こうなれと望んだわけではないだろう」
と大臣が言うと、
乳母たちは、
大宮のそう取られておいでになることをお気の毒に思いながらも、
また自家のあかりが立ててもらえたようにうれしく思った。
「さようでございますとも、
大納言家への聞こえということも
私たちは思っているのでございますもの、
どんなに人柄がごりっぱでも、
ただの御縁におつきになることなどを
私たちは希望申し上げるわけはございません」
と言う。
姫君はまったく無邪気で、どう戒めても、
おしえてもわかりそうにないのを見て大臣は泣き出した。
「どういうふうに体裁を繕えばいいか、
この人を廃《すた》り物にしないためには」
大臣は二、三人と密議するのであった。
この人たちは
大宮の態度がよろしくなかったことばかりを言い合った。
💐🎼lost memories written by のる
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