🌱🌸笑う門には福来る🌸 🌱🌟少納言日記🌟

人類は一つのとても効果的な武器をもっている。それは笑いだ🌼 by マーク・トウェイン 

頭中将 公達と酒盛り🍶【源氏物語 66 第5帖 若紫10】頭中将 公達らが北山に源氏を迎えにくる。酒盛りや音楽を楽しむ。女王は源氏を美しいと思う

ちょうど源氏が車に乗ろうとするころに、 左大臣家から、

どこへ行くともなく源氏が京を出かけて行ったので、

その迎えとして家司《けいし》の人々や、子息たちなどがおおぜい出て来た。

頭中将《とうのちゅうじょう》、左中弁《さちゅうべん》

またそのほかの公達《きんだち》もいっしょに来たのである。

 

「こうした御旅行などにはぜひお供をしようと思っていますのに、お知らせがなくて」

などと恨んで、

「美しい花の下で遊ぶ時間が許されないで すぐにお帰りのお供をするのは

惜しくてならないことですね」

とも言っていた。

 

岩の横の青い苔《こけ》の上に新しく来た公達は並んで、

また酒盛りが始められたのである。

前に流れた滝も情趣のある場所だった。

頭中将は懐《ふところ》に入れてきた笛を出して吹き澄ましていた。

弁は扇拍子をとって、

「葛城《かつらぎ》の寺の前なるや、豊浦《とよら》の寺の西なるや」

という歌を歌っていた。

この人たちは決して平凡な若い人ではないが、

悩ましそうに岩へよりかかっている源氏の美に比べてよい人は だれもなかった。

いつも篳篥《ひちりき》を吹く役にあたる随身がそれを吹き、

またわざわざ笙《しょう》の笛を持ち込んで来た風流好きもあった。

僧都が自身で琴《きん》(七|絃《げん》の唐風の楽器)を 運んで来て、

「これをただちょっとだけでもお弾きくだすって、

それによって山の鳥に音楽の何であるかを 知らせてやっていただきたい」

こう熱望するので、

「私はまだ病気に疲れていますが」

と言いながらも、源氏が快く少し弾いたのを最後として皆帰って行った。

 

名残《なごり》惜しく思って山の僧俗は皆涙をこぼした。

家の中では年を取った尼君主従が

まだ源氏のような人に出逢《であ》ったことのない人たちばかりで、

その天才的な琴の音をも現実の世のものでないと評し合った。

僧都も、

「何の約束事でこんな末世にお生まれになって 人としてのうるさい束縛や干渉を

お受けにならなければならないかと 思ってみると悲しくてならない」

と源氏の君のことを言って涙をぬぐっていた。

 

兵部卿《ひょうぶきょう》の宮の姫君は子供心に 美しい人であると思って、

「宮様よりも御様子がごりっぱね」 などとほめていた。

「ではあの方のお子様におなりなさいまし」 と女房が言うとうなずいて、

そうなってもよいと思う顔をしていた。

それからは人形遊びをしても絵をかいても 源氏の君というのをこしらえて、

それにはきれいな着物を着せて大事がった。

 

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