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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【平家物語115 第5巻 新都】昔、民の炊煙の乏しきを憂えられて、内裏には茅をふき、貢物を免除されるなど、上代の聖君は民を恵み、国を富ますことに心を払われたのであるが、それに比べてと 人々は話した。

 この年六月九日、新都の政事始めとして、造営の計画が練られた。

上卿《しょうけい》には徳大寺の左大将 実定卿《じっていのきょう》、

土御門宰相《つちみかどのさいしょうの》中将 通親卿《とうしんのきょう》、

奉行弁《ぶぎょうのべん》には、

前左少弁行隆《さきのさしょうべんゆきたか》が任ぜられ、

役人多数引きつれて土地の検分を行ない、

和田の松原の西の野を九条まで区割りしたところ、

一条から五条までは土地があったが、それ以上の場所がない。

この報告を受けた政府では、

それなら播磨《はりま》の印南野《いなみの》か、

この摂津の昆陽野《こやの》かなどと公卿会議の席上でも討論されたが、

実行に移されるとも見えなかった。

新都建設は進まず、人心は浮雲のごとく、

すでに住んでいた民はその土地を失い、

新たに移ってきたものは家の建築に苦しみ、

何れも皆心落ちつかずに茫然《ぼうぜん》となる始末である。

夢のごとき有様といえようか。

ここに土御門となった宰相中将通親は、

再三にわたって開かれた会議で強く発言した。

「異国の例では三条の大路を開き、十二の洞門を立つと書物にある。

土地検分では五条あるという、

五条の都に内裏《だいり》が建てられぬ道理はない、

まず里《さと》内裏をつくるべきだ」

 これが会議の決定となった。

清盛は五条の大納言国綱に臨時に周防《すおうの》国を与え、

内裏の建設を命じた。

 この国綱は当代屈指の富豪であったから、

内裏建設はもとより困難ではなかったが、

使役される人民の苦しみは尋常一様ではなかった。

かかる乱世に国を遷し内裏を造営するなど、

時宜に適せぬことである。

その昔、民の炊煙の乏しきを憂えられて、内裏には茅をふき、

貢物を免除されるなど、上代の聖君は民を恵み、

国を富ますことに心を払われたのであるが、

それに比べて今のやり方は、などと人々は話し合ったのである。

💐🎼#氷ノ河 written by #TOGA 

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