源氏の公子はその日の成績がよくて進士になることができた。
碩学《せきがく》の人たちが選ばれて
答案の審査にあたったのであるが、
及第は三人しかなかったのである。
そして若君は秋の除目《じもく》の時に侍従に任ぜられた。
雲井《くもい》の雁《かり》を忘れる時がないのであるが、
大臣が厳重に監視しているのも恨めしくて、
無理をして逢ってみようともしなかった。
手紙だけは便宜を作って送るというような
苦しい恋を二人はしているのであった。
源氏は静かな生活のできる家を、
なるべく広くおもしろく作って、
別れ別れにいる、
たとえば嵯峨の山荘の人なども
いっしょに住ませたいという希望を持って、
六条の京極の辺に中宮の旧邸のあったあたり
四町四面を地域にして新邸を造営させていた。
式部卿の宮は来年が五十におなりになるのであったから、
紫夫人はその賀宴をしたいと思って
仕度《したく》をしているのを見て、
源氏もそれはぜひともしなければならぬことであると思い、
そうした式もなるべくは新邸でするほうがよいと、
そのためにも建築を急がせていた。
💐🎼ひみつの恋 written by ゆうり
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