google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語105 第4巻 宮の御最後③】矢が雨のように宮の周囲に降る。両者の距離はたちまちつまった。宮のお伴鬼佐渡、荒土佐、刑部俊秀必死に防ぎ戦ううち次々と討死、一本の矢が宮の脇腹を射抜いた。

宮の勢を破り頼政一味の大将たちを討ちとった平家は、

何んとかしてあの競の滝口を生け捕りたいものと

機会をうかがっていたが、

もとより心得ていた競は

存分の戦で敵を数多倒すや腹かき切って自害した。

また円満院大夫源覚は、

もう宮も遥か落ちたであろうと、

右手に大長刀、左手に大太刀を持って敵中を突破、

宇治川に出るや水にもぐると

物具一つ失うことなく対岸に着いた。

そして小高い所に走りのぼると大声で嘲弄した。

「どうじゃ平家の者ども、

 ここまで来られたら来てみるがよい」

しばらくからからと笑うと、三井寺へ帰っていった。

 この乱戦の中で、

平家勢の飛騨守景家《ひだのかみかげいえ》は

さすが歴戦の強者だけあって、素早く判断を下した。

この戦いにまぎれて高倉宮は

奈良へ逃げられたにちがいない、

今なら間に合う、

と選《え》りすぐった精兵四、五百騎を引きつれると

馬に鞭をあて、鐙をけって疾駆した。

蹄の音どうどうと急追する景家は、

やがて光明山《こうみょうせん》の鳥居付近で

およそ三十騎ばかり宮を守って

ひたすら落ちる一群を見つけた。

それっとばかりに矢が雨のように宮の周囲に降る。

両者の距離はたちまちつまった。宮のお伴鬼佐渡、

荒《あら》土佐、刑部俊秀必死に防ぎ戦ううち次々と討死、

一本の矢が宮の脇腹を射抜いた。

体を折って馬から落ちた宮にわらわらと敵兵駆けより、

宮の首はあげられたのであった。

 この時、宮の一行が知らなかったことがある。

興福寺の援軍はすでに出発していたのであった。

大衆七千余人武装して宮を迎えに出ていたが、

先陣は木津まで進んでいた。

宮の討たれた光明山鳥居との距離は、僅かに五十町である。

伝令が宮の最後を伝えたので

興福寺の大衆は引き揚げたのであるが、

僅か五十町の間をもちこたえられず

果てられた宮のご運こそ痛ましい限りである。

🪷🎼Cursed Doll written by ハシマミ

少納言のホームページ 源氏物語&古典 少納言の部屋🪷も ぜひご覧ください🌟https://syounagon.jimdosite.com

 

🪷聴く古典文学 少納言チャンネルは、聴く古典文学動画。チャンネル登録お願いします🪷