またある朝、
清盛が寝床から起きぬけて妻戸を押し開いて小庭の内を眺めると、
こはいかに、死人の髑髏《どくろ》が小庭を埋めつくしている。
やや、奇怪、と目を見張れば、その髑髏は上になり、下になり、
骨と骨のふれ合う乾いた音が不気味に小庭に満ちみちている。
清盛は、
「誰かあるか、誰かあるか」
と怒鳴ったが、家来は一人も出てこない。
そのうちに互に上へ下へと動き廻る髑髏が、やがて一つにかたまり、
庭に溢れるほどの山になるとみるやたちまち一つの大髑髏に変った。
虚ろな眼をかっと開き、歯をかすかに鳴らして清盛を見る。
と大髑髏に何千何万の人の眼が現れ出でて、
あたかも生きた人のように、うらめしそうに清盛をにらむ。
清盛は、しかし珍奇な見世物でも見るように平然としていたが、
数万の眼が彼をにらめば清盛もきっとにらみ返す。
瞬間朝陽に溶ける霜のように跡かたもなく髑髏は消えた。
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