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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語801 第26帖 常夏12】近江君「女房として お便器のほうのお仕事だって私はさせていただきます」内大臣「‥その物言いを少し静かにして聞かせてください。それができれば私の命も延びるだろう」 

「いいえ、かまいませんとも、令嬢だなどと思召《おぼしめ》さないで、

女房たちの一人としてお使いくださいまし。

お便器のほうのお仕事だって私はさせていただきます」

「それはあまりに不似合いな役でしょう。

たまたま巡り合った親に孝行をしてくれる心があれば、

その物言いを少し静かにして聞かせてください。

それができれば私の命も延びるだろう」

 道化たことを言うのも好きな大臣は笑いながら言っていた。

「私の舌の性質がそうなんですね。

小さい時にも母が心配しましてよく訓戒されました。

妙法寺の別当の坊様が私の生まれる時 産屋《うぶや》にいたのですってね。

その方にあやかったのだと言って母が歎息《たんそく》しておりました。

どうかして直したいと思っております」

 むきになってこう言うのを聞いても孝心はある娘であると大臣は思った。

「産屋《うぶや》などへそんなお坊さんの来られたのが災難なんだね。

そのお坊さんの持っている罪の報いに違いないよ。

唖《おし》と吃《どもり》は

仏教を譏《そし》った者の報いに数えられてあるからね」

 と大臣は言っていたが、

子ながらも畏敬《いけい》の心の湧く女御《にょご》の所へ

この娘をやることは恥ずかしい、

どうしてこんな欠陥の多い者を家へ引き取ったのであろう、

人中へ出せば

いよいよ悪評がそれからそれへ伝えられる結果を生むではないかと思って、

大臣は計画を捨てる気にもなったのであるが、また、

「女御が家《うち》へ帰っておいでになる間に、

あなたは時々あちらへ行って、

いろんなことを見習うがいいと思う。

平凡な人間も貴女《きじょ》がたの作法に

会得《えとく》が行くと違ってくるものだからね。

そんなつもりであちらへ行こうと思いますか」

 とも言った。

「まあうれしい。

私はどうかして皆さんから兄弟だと認めていただきたいと

寝ても醒《さ》めても祈っているのでございますからね。

そのほかのことはどうでもいいと思っていたくらいでございますからね。

お許しさえございましたら女御さんのために

私は水を汲《く》んだり運んだりしましてもお仕えいたします」

 なお早口にしゃべり続けるのを聞いていて

大臣はますます憂鬱《ゆううつ》な気分になるのを、紛らすために言った。

「そんな労働などはしないでもいいがお行きなさい。

あやかったお坊さんはなるべく遠方のほうへやっておいてね」

 滑稽《こっけい》扱いにして言っているとも令嬢は知らない。

また同じ大臣といっても、

きれいで、物々しい風采《ふうさい》を備えた、

りっぱな中のりっぱな大臣で、

だれも気おくれを感じるほどの父であることも令嬢は知らない。

「それではいつ女御さんの所へ参りましょう」

「そう、吉日でなければならないかね。

なにいいよ、そんなたいそうなふうには考えずに、

行こうと思えば今日にでも」

 言い捨てて大臣は出て行った。

四位五位の官人が多くあとに従った。

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