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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【10分で聴く平家物語135 文覚被流④〈もんがくのながされ〉】大赦があり、文覚もこの恩恵に浴し出獄したが、平然たる面持で再び勧進帳を京の街に読み、諸方に寄進すべき檀那を求め歩き廻っていた。

 この頃、美福門院がおかくれになったので大赦があり、

牢につながれた文覚もこの恩恵に浴し、出獄した。

しかし文覚は、遠くの山にでも行って修行でもなされば、

という声には一向馬耳東風、平然たる面持で再び例の勧進帳を京の街に読み、

諸方に寄進すべき檀那を求め歩き廻っていた。

これだけでなく、勧進帳を読むかたわら不吉なことを大声にいいふらすのである。

「もはや今の世は末世じゃ、この世に戦乱起って乱れ、君も臣も共に亡びるじゃろう。

かくすることこそ、この浅ましき世の救いとはなるじゃろう」

 すでに戦乱の不安にさらされていた人心である。

この確信ありげな坊主の託宣に動揺する懸念は十分にある。

人心のみでない、政府自体が動揺していたのであるから、この文覚の言に過敏な神経をとがらした。

「あの法師は都におけぬ、流罪にせよ」

 との命が下されたのは、むしろ当然であった。

文覚は伊豆国に流されることに決まった。

 時の伊豆守は源三位入道頼政の嫡子仲綱である。

彼の采配で東海道を船で流すがよいということに決まった。

出立を控えて、文覚の護送役となった検非違使庁の下役人はやんわり話し出した。

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